とかく香魚みたいな超消極女子には、男子に話しかけることさえ史上最大級のミッション並みにハードルが高いイベントである。
今日なんか、ただ課題のノートの提出を促すだけなのに、べらぼうに緊張してしまい、どもりまくった挙げ句、相手の男子に微妙な顔をされてしまった。……死にたかった。
そんな私が、まして本命お守りを渡そうだなんて、どんなに勇気をかき集めても絶対に足りないに決まっている。
香魚はもう散々考えて、そんな結論に至っているのだ。
「……剣道着で外周に行く姿をこっそり眺めて眼福とか言ってる時点で、日陰女子には接点なんて作れるわけがないんだって」
昨日、朱夏にも言った台詞を繰り返し、いつものように校門前のなだらかだがそこそこ長い坂道を下り、四角く区画された田園の中の道を右に折れていった剣道部員たちの姿を――先頭を走る悠馬の姿を目で追う。
これが香魚の精いっぱいだ。
そういえば、今日も優紀は絶賛、朝倉くんから本命お守りの打診中だ。
昨日もわりと長い間、打診されていたようだったけれど、あと四日で男子の本番だし、今日も長そうだ。
今日なんか、ただ課題のノートの提出を促すだけなのに、べらぼうに緊張してしまい、どもりまくった挙げ句、相手の男子に微妙な顔をされてしまった。……死にたかった。
そんな私が、まして本命お守りを渡そうだなんて、どんなに勇気をかき集めても絶対に足りないに決まっている。
香魚はもう散々考えて、そんな結論に至っているのだ。
「……剣道着で外周に行く姿をこっそり眺めて眼福とか言ってる時点で、日陰女子には接点なんて作れるわけがないんだって」
昨日、朱夏にも言った台詞を繰り返し、いつものように校門前のなだらかだがそこそこ長い坂道を下り、四角く区画された田園の中の道を右に折れていった剣道部員たちの姿を――先頭を走る悠馬の姿を目で追う。
これが香魚の精いっぱいだ。
そういえば、今日も優紀は絶賛、朝倉くんから本命お守りの打診中だ。
昨日もわりと長い間、打診されていたようだったけれど、あと四日で男子の本番だし、今日も長そうだ。