あ、ラッキー。今日も剣道着で外周だー。

「眼福、眼福」

 香魚は先週と同じように教室のベランダから正門前のロータリーを走っていく黒い隊列を眺めて、ほくほくと頬を緩ませた。


 先週も剣道着で外周だったし、月曜日の昨日もそうだった。

 もしかしたら雪が降るまではずっとこのままなんじゃないかと思うと、なんとも言えない幸せな気分になる。


「……」

 それにしても、昨日の体育で隣のクラスの朱夏といろいろ話したけれど、結局香魚は、自分を朱夏に重ねてエールを送ることしかできなかった。


 もとから自分と朱夏は正反対だと感じていた部分が多かったし、さっぱりした性格の彼女なら、きっと私のように何年もうじうじ片想いなんてせずに自分から行動するだろうという、そんな漠然としたイメージもあった。


 実際話していても「せっかく作ったんだから、もったいないって」と、今年こそ頑張って渡してみたらと励まされもした。

 日陰女子の私なんかに、と思うと、とても嬉しかったし、親身になって話を聞いてくれる姿勢が、やっぱり格好いいと思った。


「……とはいっても、現実はなあ」