まるで睨みつけるようにして見つめていると、寝不足なのか、先生のお経のような声に眠気を誘われたのか、しばらくして晄汰郎の首がカクン、と折れた。

 それを見逃さなかった先生が、すかさず教科書の角で坊主頭をゴンと小突く。

 その痛みで目が覚めたらしい晄汰郎は、バツが悪そうに頭の後ろに手をやってしきりに先生にヘコヘコ頭を下げる。


「……なんで私はあんなのがいいんだろう」


 一部始終を見ていた詩が、たまらずといったふうにぽつりとこぼした独白は、けれど幸い、先生にも隣の席の男子にも聞こえていないようだった。

 それまで朗々と教科書を読み上げていた先生は、晄汰郎に向けてわざとらしい咳払いをすると、また戦国武士の階級制度について朗々と教科書を読み上げる。


 それを右から左へ聞き流しながら、ああ、友達になんて報告しよう、と詩は憂鬱極まりない気持ちで思う。

 先延ばしにしていたけれど、あともうひとつ授業を受ければ、もう昼休みだ。


 さすがに放課後までは引き伸ばせないだろうし、そこまで引き伸ばしたところで金曜日の出来事をいい感じに捻じ曲げられるとも思えない。

 それに、さっきの連行も。