そんなに私が嫌い? そんなにウザい? みんなの前で教室を連れ出したりして、晄汰郎はいったい、なにがしたかったの。



 詩は先週から、ずっとずっと考えていた。


 なんであんなことを言ったんだろう、どうして今さら晄汰郎を好きになってしまったんだろうと、くるくる、くるくる、と。

 そして自分自身、晄汰郎を彼氏にしたい、ではなく、彼女になりたい、と思いはじめていることに、ひどく驚いていた。


 先輩たちがギンガムチェックとりんごパイに一喜一憂する姿が眩しくて、青春っぽいものがしたいと憧れてはじめた自分をよく見せる努力は、けっして間違っていないはずなのに、なんでこんなに虚しいんだろう。

 胸が痛いんだろう。涙がこみ上げるんだろう。


 ……現実は、ちっとも私に優しくない。


 ひとつため息をつき、黒板を見るふりをして、晄汰郎の絶妙な坊主頭を見つめた。晄汰郎の席は教卓の真ん前という、絶好なんだか最悪なんだか、今ひとつわからない席だ。


 ……あんたのせいで、こっちは混乱してるんだよ。どうしてくれるの、ゴリラ坊主。

 だってそういう生き物だ。個人差はあるかもしれないけれど、(なら)せばだいたいみんな、同じようなものなんじゃないかと思う。


 それを、本命お守りを渡そうとしたからという理由だけで、自分だけを計算高いと言う晄汰郎が、詩はどうしても許せなかった。


 周りの子だってみんなしている。

 さっきの他クラスのグループの子だって、うちのクラスのあの子もこの子も、顔くらいしか知らない子も、みんな多かれ少なかれ計算しているっていうのに。……なんで私だけなの。