言われて香魚は、うっと押し黙る。図星だから反論する気さえ沸いてこない。

 だが、優紀にそう言われるのも無理はないが、現実は漫画のようにはいかないのだ。


 すべては、四年も想っていながら、尻込みしてなにもしてこなかった香魚が悪い。けれど、ため息だって出るし、卑屈な考えにだってなる。なにせ悠馬が正真正銘の初恋の相手だ。具体的にどうすればいいかなんて、恋愛超ど素人の香魚にわかるはずもない。


「……わかってるよ」


 苦し紛れに言ってみるも、実際は頑張り方もわからないまま想う年月だけが過ぎ、こうして今に至ってしまっているというのが、香魚が抱えるもうひとつの現状だ。


 悠馬のために作った本命お守りを持ち歩くだけで精いっぱいだった自分に、いったいなにができるというのだろうか。どうせ今年も去年と同じに決まっているのに。

 見兼ねて助言をしてくれる気持ちは嬉しいし有難いけれど、香魚の気持ちはすでに、そんなふうに固まってしまっているのだった。


「まあ、とりあえず、お守りの生地でも買いに行こっか。どうせ今年も作るんでしょ? それはそれ、これはこれ、ってね」


 聞かれて香魚は「うん」と頷く。