校長先生の長い話と、見た事もない来賓の挨拶が続いた開会式。
その開会式の最後の校歌斉唱に合わせて掲揚塔の頂上まで校旗を上昇させる。それが私たちの体育祭当日最初の仕事だ。
吹奏楽部の演奏で、校歌の短い前奏が流れる。
沢崎くんと視線を合わせて一緒に「せーの」と言った。
リハーサルで何度か練習したはずなのに、全校生徒の視線と、緊張で、あっという間に半分の高さまで辿り着いてしまった。
2人で順番にロープを引きながら目を合わせる。
「俺らペース早くね?」
「うん。早い気がする」
少し調整しながらゆっくりロープを引く。
見上げると、家庭科室でアイロンがけをした校旗が風に揺らめいて、青空を舞っている。
校歌の進み具合を聞きながら、カクカクと不自然な動きをする校旗に、沢崎くんと顔を見合わせて笑った。
色んな事を経験した体育祭実行委員。
こうして校旗を見て笑ったことも、
暑い中行われた体育祭も、
きっと10年後、大人になったときに
“戻りたいね”
なんて言って、思い出すんだ。
これは私の、大切な青春時代の物語。
end
