これから色んな人と出会って、たくさんの事を経験するんだと思う。
けど、今、この時に出会った人たちは、きっとずっと心に刻まれる。
高校3年間って、それくらい密度の濃い時間なんだ。
「末次さん、先生呼んでる」
沢崎くんにそう声をかけられた先輩は、「じゃ、また」と言って小走りでテントから出て行った。
私と沢崎くんは、というと。
「…俺らも仕事しますか」
「うん。頑張ろう」
私はジャージのポケットに折りたたんだプログラムをしまった。
「あ。その前に」
沢崎くんがジャージの袖口で私の口元を拭いた。
「っ、…なに、」
「他の男が寄ってきたら困る」
「……なにそれ。…寄ってこないよ」
と言いながら、私の顔はきっとまた赤くなってるんだろう。
そんな私を見てふっと笑った沢崎くんが、すごく大人びて見えた。
