10年後、思い出したくなる物語





これから色んな人と出会って、たくさんの事を経験するんだと思う。

けど、今、この時に出会った人たちは、きっとずっと心に刻まれる。



高校3年間って、それくらい密度の濃い時間なんだ。




「末次さん、先生呼んでる」

沢崎くんにそう声をかけられた先輩は、「じゃ、また」と言って小走りでテントから出て行った。




私と沢崎くんは、というと。



「…俺らも仕事しますか」


「うん。頑張ろう」



私はジャージのポケットに折りたたんだプログラムをしまった。



「あ。その前に」

沢崎くんがジャージの袖口で私の口元を拭いた。


「っ、…なに、」


「他の男が寄ってきたら困る」




「……なにそれ。…寄ってこないよ」




と言いながら、私の顔はきっとまた赤くなってるんだろう。



そんな私を見てふっと笑った沢崎くんが、すごく大人びて見えた。