唇が離れ、ゆっくりと目を開ける。
思いもよらない沢崎くんの告白と、初めてのキス。
脳内の処理が追いつかず、嬉しさと恥ずかしさで泣きそうになるのをグッと堪えた。
スゥーッと息を吸ったままそんな私を見て何か考えている様子の沢崎くん。
「……?」
「いや…ストッパー外れそうだから我慢してる」
沢崎くんはそう言うと、ぱっと立ち上がった。
何の事を言っているのか分からないけれど、私は大事な事を言い忘れていたのを思い出して同じように立ち上がった。
「私、この間、体育倉庫で言ったこと…謝りたくて」
と言うと、
「あー、いいよ。俺が“クソガキ”だったのは事実だし」
と、嫌味ったらしく返された。
「そんな言い方してない。それに、その事もだけど…マネージャーさんとの事とか、言っちゃって」
沢崎くんは、思い出した!というように左の手のひらに右手の拳を当ててみせた。
「あれ何?なんであんなキレてたの?」
「沢崎くんがサッカー部に復帰した日に、グラウンドでマネージャーさんと楽しそうに話してるの見て。幼馴染って言ってたけど彼女なのかなって…モヤモヤして。八つ当たりした」
「ん?」
沢崎くんが腑に落ちていない顔をした。
「ちょっと待て。彼女?」
「喧嘩してた幼馴染って男だけど」
「え?」
「誰のこと言ってんの?」
あれ。
私が見た女の子はマネージャーさんじゃない?
