「でも、末次さんと一緒に帰ってくの見たときに、何かイラついて。
引き止めたくなって、気付いた。
俺、国枝さんの事、好きなのかなって」
そこまで言うと、ようやく顔を上げた沢崎くん。
ボサボサの髪とは裏腹に、真剣な表情だ。
「今日、聞くつもり無かったし、言うつもりも無かったんだけど」
「…うん」
「末次さんと、付き合ってる?」
左右にブンブンと首を振ると、ふうっと溜め息をついた沢崎くん。
床に軽くついていた手を引っ張られてバランスを崩した私は、へにゃりと床に座り込む形になった。
視線を上げると目の前には沢崎くんがいる。
「じゃあ俺が入り込む余地、ある?」
「……ある、」
みるみる熱くなる私の顔。
沢崎くんの瞳に、そんな私が映っているのが分かる。
「だからそれ、感染るんだって」
そう言う沢崎くんの耳がまたほんのり赤い。
沢崎くんの左手が、私の頬に触れた。
「嫌じゃないなら、目閉じて」
沢崎くんの言葉に、私は何の抵抗もなく目を閉じた。
「…何で今日そんな素直なの?マジで調子狂う」
そう言った沢崎くんは、しゃがんだままもう一歩私に近付いて、触れるだけのキスをした。
