「…実行委員、もう来ないのかと思った」
私は小さな声でそう言った。
「え、何で?来るよ。先週はちょっと部活対抗の練習させられてた」
沢崎くんはいつもと変わらない。
あんな意味不明な八つ当たりしたのに、普通に話してくれる。
「もしかして、寂しかった?」
沢崎くんがからかうようにふざけて言うから
「うん」
と、真っ直ぐ目を見てそう言うと、沢崎くんが一瞬フリーズしたように見えたけれど、すぐにその場でしゃがみ込んで、ワシャワシャと自分の頭を掻いてうなだれた。
「あのさ」
下を向いたままの沢崎くんの、少しボサボサになった髪の毛。
そこから声だけが聞こえる。
「うん」
私も椅子を降りて沢崎くんの前にしゃがんだ。
「部活対抗に出ようと思ったのは、国枝さんに言われたからだよ」
「私?」
「“サッカーやりたいから入部してるんでしょ”って」
あの日、家庭科室の帰りに話した事だ。
「図星、その通りだわって思って。喧嘩してんのアホらしくなって、その日の夜すぐ大森に連絡した」
沢崎くんは下を向いたまま続けた。
「国枝さんって、あんま人に踏み込んでこない子だなって思ってたんだけど」
「クソ真面目で他人に興味無さそうなのに、そうやってスルスル隙間に入って来て。何か一緒にいると調子狂う」
言い方は置いておいて、沢崎くんの目には私がそんな風にうつっていたのかと思って、黙って聞いた。
