10年後、思い出したくなる物語





次の委員会。


沢崎くんは少し遅れてやってきた。


「おつかれ」

そう言っていつものようにカバンを雑に机に置いて私の隣に座った。


この前の昇降口で遭遇してから会ってなくて少し気まずかったけれど、そう感じているのは私だけのようだ。

「珍しいね、遅れてくるなんて」

「あー。ちょっと部活の打ち合わせ」

やっぱり、サッカー部に復帰したのかな。




「そういえば、部活対抗…」

沢崎くんが言いかけた時、末次先輩が声をかけてきた。

「国枝さん。この前はつき合ってくれてありがとね」

「こ、こちらこそ!ありがとうございました」

私はお辞儀をした。



「今日は沢崎が遅れてきたから、面倒な仕事しか残ってない。2人でよろしくな」

そう言って末次先輩は体育倉庫の鍵を机に置いた。

「今日はっていうか、いつもでしょ」

沢崎くんか不機嫌そうに言った。


「ごもっとも。まあそれが実行委員の仕事だ」


「何ですか?今日やること」


私がそう聞くと、いつか私たちが作った備品リストを手渡された。

「この印が付いている備品だけ、体育倉庫から1階の会議室に移動させてほしい。会議室にはブルーシート敷いておくからそこに置いてくれれば良いよ」



「了解しましたー」

と、沢崎くんは軽く言うとさっさと視聴覚室を出て行ってしまった。

「あ、じゃあ、行ってきます」

慌てて追いかける私を、末次先輩は笑顔で見送った。