「相談するような事はないんです」
私は持ってきたチーズケーキをパクっと口に入れた。
「ただ、自分でもよく分からないっていうか…知らない感情がどんどん出てきて、処理しきれないっていうか…」
何を言いたいのか、私自身もよく分からないけれど、末次先輩は黙って聞いてくれた。
「国枝さんは頭で色々考えすぎだね」
苺のタルトを食べ終えた末次先輩が、コーヒーを一口飲んでそう言った。
「たまにはさ、感情の赴くままに行動するのも悪くないよ」
「感情の赴くまま?」
「そう。ブレーキかけずに、曝け出す」
私に出来るだろうか。
誰かを理解しようとすることも、自分を理解してもらうことからも
ずっと逃げてきたのに。
「高校2年生ってさ、そういうフェーズなんだよ。僕もそうだった。
いろんな価値観とか、考え方とか、それこそ人間関係?
そいうのが自分の中で定まってくるっていうか。
だからこそ、そういう時に出会った人とか、一緒に過ごした仲間ってすごく尊く感じるんだ。
僕は高3だけど、大人になったらもっと実感するんだと思う」
末次さんは、喋り終わるとまた一口コーヒーを口に運んだ。
