しまった。
その話を聞いた事は内緒って言われてたんだ。
「出どころは予想つくけど」
そう言って沢崎くんは笑った。
「いや、えーっと…あ、アイロンしなきゃ」
私が誤魔化すようにアイロンに手を伸ばすと、慌てたからか、熱くなったプレートに手の甲が一瞬触れてしまう。
「熱っ」
「え?何してんの…」
沢崎くんが、すぐに作業台の隣にあった水道まで私の手を引いて、勢いよく蛇口を捻った。
沢崎くんの手も一緒に冷やされていて、制服の袖が水浸しだ。
「ごめん、袖がベタベタに…」
「いいよ別に。痛い?」
「大丈夫…」
本当は少しヒリヒリするけれど。
しばらく流水で手を冷やしながら、握られたままの手首と沢崎くんの上履きが同時に視界に入った。
すごく近距離にいることに、急に心拍数が上がる。
チラッと沢崎くんを見上げると目が合ったので、
「あの…別に、沢崎くんの過去を探ろうとしたとかじゃなくて…」と、何も言われてないのにまるで言い訳してるような台詞がこぼれた。
「分かってるよ。どうせ末次さんが意味深な言い方したんでしょ。
大した過去でもないし聞かれたら答えるっていうか…別に隠してないんだけど」
「そうなんだ…」
「うん。ていうかさ、国枝さん」
再び沢崎くんと目が合った。
