「沢崎くんって、体育祭競技全く出ないの?」
何となく手持ち無沙汰で、そんな事を聞いてみた。
「んー?あぁ。多分ね」
沢崎くんはこっちを見ずに答えた。
なんか、微妙な言い方だな。
「多分?」
「部活対抗に出てほしいって言われてるけど、断る予定」
「えっ、帰宅部じゃなかったの?」
「違うよ。一応所属はサッカー部。幽霊部員だけど」
「そうなの…?勝手に帰宅部だと思ってた」
「まぁ、ほぼほぼ帰宅部と一緒の生活してるからな」
末次先輩から聞いた話では、今はサッカー辞めたって言ってたような…。
でも幽霊部員ってことは、辞めたことに変わりはない??
頭の中が軽くパニックだ。
ひと通り家庭科室の物色が終わったらしい沢崎くんが、私のいる作業台に戻ってきて対面の椅子に座った。
「中学のときは本格的にやってたんだよね?」
私がポロっとそう聞くと、沢崎くんは頰杖をついて私をジッと見て「そうだったかもね」と言って少し笑った。
やけに沢崎くんの視線が痛くて、目を逸らしたまま私はアイロンの温度ランプを見つめた。
「あのさ、
なんで俺が中学でサッカーやってたこと知ってんの?」
その瞬間、“カチッ”とアイロンの温度ランプが点灯する音がした。
