「バトンが6本、綱が…」

私はただ言われた数字をメモする。

体育倉庫に来て30分くらい経っただろうか。

「とりあえずこんなもんだな」

先程から私に背を向けて倉庫内を物色しているこの人は、隣のクラスの沢崎君。
私と同じ、今年の体育祭実行委員。

「そうだね」

「ん。じゃ戻るか」

毎年各クラスから1人ずつ体育祭実行委員を選び、プログラムの作成や当日の準備、進行、後片付けまでを実行委員が取り纏めて行う。

誰もあまりやりたがらない、はっきり言って一番面倒な仕事だ。