それから二週間と少したった月曜日、一週間ぶりに公園へ寄った。
花見の約束をした頃は毎日のように桜のチェックをしていたけど、ここのところ仕事が残業続きで、見に来る余裕がなかったのだ。
お弁当を作りながら朝のニュースのチェックは行っているので、満開まではまだしばらくかかるはずだとわかってはいた。
公園の土を踏みしめる自分の足を見ていた視線を上げ、公園を見回そうとしたとき、わたしは驚いた。
「……嘘!」
視界にちらほらと薄い桃色が広がっていた。
桜の花が咲いてる!?
慌てて桜の木に駆け寄って、見上げた。桃色にふくらんだつぼみと開いた花。
3分咲きといったところかな。半分は咲いてないと思う。
でも、桜は咲き出すと早いんだ。お花見をするなら、たぶん今週末。天候にもよるけど、来週末は散ってしまっているかもしれない。
ほんの少しの時間も待ちきれない思いで、わたしは誠司さんの家へと駆け出した。
最近ではすっかり見慣れてしまったエントランスを抜け、エレベーターのボタンを押す。
まるで子供みたいにその場で足を踏み鳴らし、ゆっくりと下りてくるエレベーターの階数表示を見ていたけど、結局、待ちきれなくて、すぐそばの階段を二段飛ばしで上がった。
ローヒールのくせに、カンカンとうるさい音が響く。
疲れなんて気づかないまま6階にたどり着き、エレベーターホールを通って廊下に出た。
逸る気持ちで、廊下の先にある誠司さんの部屋を見て、わたしは動きを止めた。
まるで心臓が凍ってしまったかのように、動くことができなかった。ヒュッと吸い込んだはずの息も喉の奥で止まる。
――なんて間の悪いタイミング。
ちょうど誠司さんの部屋から女性が出てくるところだった。
離れた位置でも綺麗な人だとわかる。
明るい茶色の巻き髪は、わたしのパーマをあてただけでろくなセットのしていない髪の毛とは違い、美容院でセットしてきたばかりのように綺麗にくるくるしている。
黒の膝丈ワンピースの裾からは白くて細い足が伸びていて、その先は華奢なピンヒールで頼りなさげに守られている。
顔はこの位置からでははっきりとしないけど、きちんとオシャレをした人だ。
花見の約束をした頃は毎日のように桜のチェックをしていたけど、ここのところ仕事が残業続きで、見に来る余裕がなかったのだ。
お弁当を作りながら朝のニュースのチェックは行っているので、満開まではまだしばらくかかるはずだとわかってはいた。
公園の土を踏みしめる自分の足を見ていた視線を上げ、公園を見回そうとしたとき、わたしは驚いた。
「……嘘!」
視界にちらほらと薄い桃色が広がっていた。
桜の花が咲いてる!?
慌てて桜の木に駆け寄って、見上げた。桃色にふくらんだつぼみと開いた花。
3分咲きといったところかな。半分は咲いてないと思う。
でも、桜は咲き出すと早いんだ。お花見をするなら、たぶん今週末。天候にもよるけど、来週末は散ってしまっているかもしれない。
ほんの少しの時間も待ちきれない思いで、わたしは誠司さんの家へと駆け出した。
最近ではすっかり見慣れてしまったエントランスを抜け、エレベーターのボタンを押す。
まるで子供みたいにその場で足を踏み鳴らし、ゆっくりと下りてくるエレベーターの階数表示を見ていたけど、結局、待ちきれなくて、すぐそばの階段を二段飛ばしで上がった。
ローヒールのくせに、カンカンとうるさい音が響く。
疲れなんて気づかないまま6階にたどり着き、エレベーターホールを通って廊下に出た。
逸る気持ちで、廊下の先にある誠司さんの部屋を見て、わたしは動きを止めた。
まるで心臓が凍ってしまったかのように、動くことができなかった。ヒュッと吸い込んだはずの息も喉の奥で止まる。
――なんて間の悪いタイミング。
ちょうど誠司さんの部屋から女性が出てくるところだった。
離れた位置でも綺麗な人だとわかる。
明るい茶色の巻き髪は、わたしのパーマをあてただけでろくなセットのしていない髪の毛とは違い、美容院でセットしてきたばかりのように綺麗にくるくるしている。
黒の膝丈ワンピースの裾からは白くて細い足が伸びていて、その先は華奢なピンヒールで頼りなさげに守られている。
顔はこの位置からでははっきりとしないけど、きちんとオシャレをした人だ。