「食う？」


後ろからポンポンと頭をつつかれ振り返ると、黒崎くんがチョコを手に握らせてくれた。


「あ、ありがと」


気まずさで思わず噛んでしまうと、


「黒崎くん！私には？」


と、すかさず声がかかった。


「あ、わり。古川ので最後だったわ。全部コイツが食った」


「ごめんごめん麻衣子ちゃん。お詫びにこれどーぞ」


瀬戸くんから持たされたのは、イチゴ味のキャンディ。


桜庭さんは瀬戸くんから受け取ったキャンディを口に入れながら、私を般若の顔つきで睨んでいる。


だけどそれがどれ程恐ろしい表情がまでは、今までずっと祖とを見ていたせいの光調節のため薄暗く感じてあまりよく見えなかった。


ホッと一息つく。