「古川は?」
「え?あ、はい?わ、私?」
彼女の問いには無視して私に話をふってきた黒崎くん。
もちろん彼女の睨みが私を刺している。
「わ、私は京都なんて知らないから。みんなが行くところについていく」
「まぁ、俺についてくればいいよ。いいとこチェックしとくし」
黒崎くんが言うと、彼女の口は尖っていき、瀬戸くんの口元は緩んでいった。
「おいおいおいおい~!たっちゃんかっこつけちゃって~」
黒崎くんはうるさそうに、だけどどこか嬉しそうに瀬戸くんの頭をはたいた。
「なーんかお二人、雰囲気変わってない?」
もう、この人は本当にやめてほしい。心臓に悪い。
「一緒にいる時間が増えたんだから、変わるのも当たり前じゃね? な、古川」
え! あなたも!?
黒崎くんもそんな言い方するの?桜庭さんに誤解されるじゃん。
やめてよもう......。
「へぇ~。二人っきりでいる時間が増えたんだぁ。ふーん、そう~」
ニタニタしながら私と黒崎くんを見る瀬戸くん。
「なんだよその目。気持ちわりぃ」
「へぇ~、二人っきりでってとこ否定しないんだぁ。二人っきりで会ってるんだぁ」
「おまえ、それしか言うことねぇの?相変わらず暇人だな」
黒崎くんも笑ってるけど、何かフォローしてよ。
違うよとか言ってよ。
睨まれてるんだって、私。