川辺の湿っぽい風の匂いが、やっぱり懐かしくて胸が締め付けられる。


「私ね、昔、ここで女の子と約束をしてるの」


「......」


「多分、ここなんだ。たぶんね」


私が曖昧に言うと、彼は『なんだよそれ』と眉を寄せて笑った。


「幼稚園くらいのとき、この辺りで、またホタルを一緒に見ようねって」


私は、コンクリートの橋を指差し、昔を思い出しながら言う。


「へぇ。覚えてるんだ」


私は、曖昧な記憶に考えながら頷く。


「その女の子、多分だけど桜庭さんだと思う」


私がいうと、彼は少し咳き込んで私を見た。


「この前の清掃のとき、毎年おじいちゃんとここに来てたって言ってたし。間違いないんじゃないかな」


「ふーん。そっか」


「なんか不思議だよね。またこうやって会えるって。もう二度と会えないって思ってたのに」


もう何年も前の記憶だから、正直あっているかどうかも定かではないけれど、懐かしさを感じるこの胸がざわつくんだ。


「運命、なんじゃない?」


彼の呟きに、『え?』と聞き返す。


「そういう再会って、俺は運命だと思うけどな」


女の子同士で運命なんて何だか変な感じがする。


しかも、彼女はわたしのことを嫌っているし。


運命と言っていいのかどうか……。


黒崎くんは、ずっと私を見ていた。


気づかないふりをしたけど、緊張してしまい、横目で彼を見てみたけど、その時にはもう、茜色に染まる川面を眺めていた。


彼が眺めているからか、川までもが赤面してキラキラしている。


彼にはすごい力があるのかもしれない。