〟お弁当食べたらすぐに図書室に来て〝
黒崎くんからそうメッセージが届いて、私は口に入れいたミニハンバーグを無理やり飲み込んだ。
ハンバーグは大きなブロックのまま喉を通過し、胃に流れてこんで行くのがわかる。
完全に胃におさまるのをお茶で助け、すぐにお弁当を片付け図書室へ急いだ。
場所は指定されていたけど、図書室のどの場所とまでは言われていない。
だけど、何故だか足が駆け出した。
わからない。どうして体がそう動くのか。
手を伸ばしても先に何があるのかわからないほどの暗闇が怖くて、ただ、明るく日が差す場所を見たかったのかもしれない。
彼が立つところはいつも光輝いているから。
手探りで、暖かい光を求めた。
図書室のドアを開けると、そこはとても静かだった。
誰もいない。
昼休みに図書室を利用する人は少ないようだ。
東京の学校もそうだった。
本棚と本棚の間を探すとふいに声がかかった。
「気持ちいいよな」
声がかかると分かっていた私は、『そうだね』と短く返しながら、彼の姿を探す。
彼もまた、利用者の少ない図書室に入って来たのが、自分の呼び出した相手だとすぐにわかり、顔を確認もせずに声をかけたのだろう。
「今度の日曜日、予定ないだろ?」
ありません。そう返事をすること前提の質問だ。
わたしは誘導尋問のように、『うん』と返す。
「デートしよう」
驚いて目を見開いた。
何を言っているんだろう。
デート...?
私、と?
何のメリットがあってそんなこと言うの?