「どうかした?」
彼女を見つめる私を見た黒崎くんが眉をあげる。
「あ、いや、なんでもない」
そう答えたものの、目線は彼女からはずせない。
あの時に約束した女の子は、本当に桜庭さん?
場所だってあってるし、おじいちゃんと来ていたって言ってたし。
間違いないとは思う。
あのときの約束を私だけ覚えている可能性もあるし。
もし、彼女だとすれば、なんだか少し複雑だ。
いい再会になればいいなと思ったけど、世の中甘くないらしい。
私たちは2時間程の清掃を終え、今年の夏もホタルがたくさん見れることを願った。
今年は、この4人で見にこようと提案した瀬戸くんは、とても目が輝いていた。
楽しみでもあるけど、私なんかが一緒に過ごしていいのかと不安な面もある。
やっぱり私は、人の目を気にせずにはいられない......。