彼女も、周りの目を気にして自分を殺しているとか?
いや、それはない。
彼女はクラスの中心的存在。
そんな人が無理やり自分を殺すわけがない。
「達也のやつはまだきてないのか」
そう言えば、黒崎くんの姿が見当たらない。
もう集合時間になると言うのに。
「また寝坊かぁ?」
そうかもしれない。
私たちは、黒崎くん抜きで掃除を進めた。
川辺の雑草の隙間を細かく探し、小さなゴミも残さず拾う。
遠くから見ると綺麗に見えても案外ゴミは落ちているものだ。
タバコの吸い殻やお菓子のビニール。
風に乗って運ばれてきたようなゴミばかりだった。
しばらく掃除をしていると、遠くから走る足音が聞こえてきて、私たち3人は顔をあげる。
「お!達也!」
「悪い悪い!寝坊!」
家からずっと走ってきたのか、川辺に走り込んできた黒崎くんは膝に手をついて肩で息をしていた。