男子って不思議。
毎日会わなくても友情は成立するんだ。
女子はずっと一緒。好みも一緒。笑うタイミングも一緒。
何でも一緒じゃないと、除け者扱いされる。
だから無理に人に合わせようとするし、学校での自分は自分じゃない。
黒崎くんと瀬戸くんの関係が羨ましい。
「なになに?そんなに俺のこと見つめちゃって」
瀬戸くんに言われてハッとした。
彼の言う通り、私はずっと彼の横顔を見ていたみたいだ。
「俺に惚れちゃった?」
「ち、違います!」
思わず大げさに返事をしてしまい、瀬戸くんが冗談だと笑う。
そうこうしているうちに、清掃作業場所の川辺に到着した。
もうすでにほとんどの生徒が集まっていて、それぞれ軍手にビニール袋を手にしていた。
「悪い悪いちょっと遅れたぁ」
瀬戸くんが一番最初に声をかけたのは、桜庭さんだった。
一気に体が警戒モードになる。
「もう、遅いよぉ。はい、瀬戸くんたちのビニール袋。すぐ始められるように準備してたよ」
「おー!サンキュー! 相変わらず気がきくねぇ、真衣香ちゃん!」
相変わらずチャラいねぇ瀬戸くん。
私も、頭の中で彼のように両手の人差しで瀬戸くんをクイクイと刺す。
だけどすぐに、気持ちを引き締めるために軽く咳払いをして身構える。
「はい! これは古川さんのね」
そう言って渡さ手のは新しい軍手。
彼女は何を思って私に笑顔で話しかけているのだろう。
私が嫌いなら無視していればいいのに。