ホタルを守る会のミーティングが終わってからの帰宅だったので校内に残る生徒は少なかったけれど、それでも数名には、私が彼に手を引かれる姿を見られてしまった。
私たちを見るみんなの表情は同じ。
一度振り返って、もう一度振り返る。
その目は大きくなっていて、隣にいる友人らの肩を叩き、私たちを指差し、あり得ないことが起きていると異常を知らせている。
焦った。
焦りに焦って、体が震える。
「ちょっと待ってよ!突然こんな……困るよ」
勢いよく彼の手を振り払い、だけど語尾は小さく地面に落ちた。
「みんな見てるし……」
唇を噛み、もう彼の顔は見ない。
駐輪場の前。
空が青紫色に染まり、夕暮れの気配が漂う。濃くなっていく空の色が、私の不安を掻き立てた。
静かな空間の中、居心地の悪い私の体はどんどん猫背になっていく。
「古川さ、なんでそんなに周りの目が気になるの?」