ひとクラス4名ずつの、合計36名。
私は何故か黒崎くん、瀬戸くん、桜庭さんの4人で空き教室に座っている。
『ホタルを守ろう』これが、この清掃のテーマだ。
ホタルを守るための清掃活動は、とても素晴らしいものだと思う。
それに参加出来るのはいいのだけど、メンバーに問題がある。
どうして、こんな派手なメンバーの中に私が......
「この清掃活動、達也は去年も参加してるんだよ」
席に座ってずっと黙りこけている私に耳打ちしてくる。
へぇ。としか言いようがない。
全く興味のない情報だから。
「ホタルはこの辺りしか見られない超貴重なものだからさ」
『ホタルは水のキレイな場所にしか現れないんだ』
瀬戸くんの言葉に、頭の中で小さな記憶が過った。
あれは、幼稚園くらいの時だったかな。
夜の川岸で出会った私と同じくらいの年の女の子に言われたことがある。
私はお母さんと、その子はおじいちゃんと来ていたんだったかな?
幼い頃の記憶はあやふやだけど、〝ホタル〟という言葉で、暗闇に浮かぶその子の笑顔が脳裏を過った。
顔ははっきり思い出せないけれど。
「聖菜ちゃんはホタル見たことある?」
「あ……うん。私もあるよ。一度だけ。子供の頃ね。それがどこだったかは覚えてないけど」
答えるつもりはなかったのに、口から出てきた言葉たちに戸惑って膝の上で手を弄んだ。