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今村くんが、次の連休を使って鹿児島へ行ってこいと言ってくれた。
飛行機のチケットまで購入済みで。
彼には、今はまだ付き合えない理由として、8年前に好きだった人が、まだ心にいることを言ってある。
忘れることが、出来ないこと。
それでも彼は、私を待ち続けてくれているのだ。
こんな人、今村くんくらいしかいない。
こんな、なんの取り柄もない私をずっと好きでいてくれるなんて......。
高校を卒業後東京に戻り就職してからは、一度も鹿児島を訪れていない。
忘れられない思い出だけれど、それに触れてしまうのが怖かった。
〝彼〟のいない現実を、ただ突き付けられるだけだから。
だけど......。
今村くんの準備してくれたチケット片手に飛行機に乗ったということは、自分でも少しは前に進まなくちゃと、思っているのかもしれない。
黒崎くん......。
今から、あなたに、会いに行きます。