私の勝利らしい。
ハッとした。私は何をこんなしょうもないことをこんなに言い合ってるの。
関わりたくないのだから、私から無視すればいいのに。
前方から、車の音が近づいてきた。
私は反射的に後ろを振り返り、できるけ彼に隠れるようにして顔を伏せる。
車のライトに顔を照らされないように、車に合わせて背中の向きを変えていく。
車の音が完全に聞こえなくなった頃、私はまた歩みを始めた。
「ねぇ、だから何をそんなに怒ってるわけ?」
「………」
「理由もわからないままそんな態度取られると正直苛立つんだけど」
そう。そのまま苛立って私と関わりたくないと思ってくれたらそれでいいの。
あなたの感情は間違ってない。私に対してイライラして学校でも無視してくれれば……。
「はいはい、ストップストップ」
今度は右腕ではなく、後ろから両肩を掴まれて立ち止まった。
「何?離してよ! 私といるとイライラするんでしょ? だったら私と関わらない……」
「だーかーら、理由がわかればイライラしないの」
彼が私の前に回ってくる。
「何が不満なわけ? 転校? 友達と離れたから?」
“友達”。その言葉に、吐き気がした。