「煙草、火つけていい?」
「ああ、俺がやる」
昨日買ったコンビニの袋の中から悠大が吸っていたメビウスの煙草を取り出した
私は、煙草は吸わない
だから、代わりに爽大さんがつけてくれて
近くのテーブルから透明なガラスの頑丈そうな灰皿を持ってきて悠大の近くに置いた
「これで、アイツも満足だろ
お前が気に病む必要なんかないだろ」
「卒業式の日、一番近くに居たのに
私は何も気づけなかった
一切目も合わせず、まるでそこに居ない存在のように扱って、彼を見ようともしなかった」
「だから、それがどうした?」
紫煙を吐きだして、トントンと灰皿の上に灰を落とす