「何をだ」

フォークを机の上に置いて、私の手からスマホを奪い取る

「っ、なんだそういうことか」

一瞬目を見開いて、納得したように私にスマホを差し出す

受け取ろうとしても、手が震えて上手く握れない

ゴンッと鈍い音を立てて、スマートフォンは私の手から落ちていく

ああ、こんなに手が震えてる

震える手を止めようと、左手で右手を抑え込んでも震えは一向に止まらず

震えは増すばかりで、恐怖に似た感情だけが私を取り囲んでいた


彼は、あの光景を見て電話してきていたんだ

私が電話を無視したことも、彼は知ってる


私は間違いなく"捨てられる"