本来の家を出てきた目的を達成するために
「服買うなんて、珍しいな
春以来か?」
「うん、秋にも買ったけど
ネットショッピングだと納得いかなくて」
「ま、別にいいけど」
また煙草に火をつけて煙を吐き出す
気負い慣れた紫煙の匂いが、鼻をかすめた
しばらく走って着いたのは彼の家
その近くには大きなショッピングモールと駅
後部座席の白い箱と上着とマフラーを取って、車を降りる
「楽しみだ」
そう言って笑う爽大さんの横顔はまぎれもなく彼にそっくりで
手に持っている白い箱の中身を楽しみにしながら、彼の住むマンションへと足を踏み入れた
