煙草をもみ消した手で、足の上に背を上にして置いていたスマホを画面を上にして置き直される

画面には、"悠大"の文字

しばらく画面を見て、出るのをやめた

それから何度も、何度も、何度もかかってきた電話

緊急性のある電話なら彼以外からもかかってきてもおかしくない

それなのに、ずっと電話は彼からしかかかってこなかった

「出なくていいのか」

「いい」

本当ならこの時間は電車に乗っているはず

なのに、電車の音がしないのはオカシイ

「買い物、付き合ってよ」

「ああ」