「爽大、さん」
車の右側のドアを開けて、車に乗り込む
暖房の効いたこの車は暖かい
「相変わらず、そのサンづけやめろよ」
彼のそんな嫌味ももう何度目か
一切気にせずにマフラーを外して、上着も脱ぐ
後部座席にある白い箱をつぶさないようにそれを置いて
ゆっくりシートベルトを締めた
「あいつは?」
「何も、いってなかった
"彼女"の所に行くみたい」
「バカだなぁ、こんなイイ女ほっとくなんて
離婚、いつだっけ」
「来月」
「ああ、もうそんな立ったのか
あっという間だな」
ハザードランプを消して
パーキングからドライブに切り替えて、車を走らせる