夜中に帰ってきて、甘ったるい香水の残り香をカラダに纏って 不機嫌な顔で帰って来た彼 この香水の匂いはもう嗅ぎ慣れていて "彼女"のものだと分かる "彼女"の気配を残したまま、彼は私を抱いた 黙ったまま、 ただ、耳元でいつものように「好きだよ」とだけ呟いて 顔を見ることもなく、作業のように彼に抱かれた 彼の高い体温と、荒い呼吸だけは鮮明に感じ取れて 耳元でささやかれる声が、毒でしかなかった