「月が、きれいだね」 正面から抱き着いてただ、与えられる快感に浸って溺れた 彼が私を抱くとき、必ず言う 満月、三日月、上弦の月、半月、下弦の月、新月 いつも私を抱く日は、必ず決まっていた 彼の機嫌も、その日だけはよかった ただ、今日みたいに月も出てないのにそれを言う日がある 「月、でてない、、よ」 「っ、鈍感」 彼が律動を早めるのと同じタイミングで耳にフッと息がかかる 荒くなった息が、ただこの快感の終わりを意味していた