「いつも言ってるけど
夜出かける時は一言声かけて
なんかあってからじゃ、俺が困るんだから」
“迷惑をかけないでくれ”
彼が言いたいことはそういう事のようで
流石自分の親の会社の為に偽装結婚をしたいと言い出しただけはある
所詮は私は、ただの道具でしかない
彼がのし上がるための道具
私に何かあれば一番困るのは、この人だ
静かに降りて行く箱の中を包むのは無言
お互い喋る事もないし、口を開ける事もない
無言のまま、箱は1階のロビーに到着した
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