「寝ようか」

外では吸わない、煙草

お互いしかしらないこと

まるでヒミツの共有のようで、少しうれしい

灰皿の上に燃え尽きたタバコを置いて、もう一度ベッドの中に入ってくる

汗でベタついていたはずの肌は、いつのまにか乾いていて

さらさらとしている

「おやすみ」

「おやすみなさい」

お互いに背を向けて横になる

抱き合って寝たことなんて、一度もない

もうずっと、このスタイル

もぞもぞと動くたびに

背後からふんわり香るタバコの残り香

とても、甘い香りがした