「トウカ、行くぞ」
「うん」
名前も顔も知らない人の墓参り
なのに、この子も爽大さんが連れていく
「忘れ物ねーな」
爽大さんがオートロックのドアから手を離せば、カチャッと鳴る
鍵が閉まる音
「墓まで遠いのがダルいよな」
車にのって、後部座席でトウカと一緒に座る
自分が何故知らない人の墓に行くのか
それすら理解できてないだろう
都市部から離れた所にある田舎
そこに、彼のお墓はある
彼の実家がそこにあって年に2回、家族全員が家に集まる
先祖代々墓を作っておいてある場所があるその一角に墓がある
私は、家には年に2回しか行ったことがなかった