「森崎」

「「なに?」」

「悠大の方な、これ頼まれてた書類」

講義が終わった後、ふと呼ばれた名前

森崎、それが私の苗字

苗字が変わる前も、後も森崎

要は、横で書類を受け取る男と生まれた頃から同じ苗字

「お前ら、ほんと仲良いよな

高校の時もそうだけど、お前ら付き合えば?」

付き合うも何も、もうすでに結婚までしています。
そんなこと、口が裂けてもいえないけど、高校の時から「森崎男の方」「森崎女の方」と言われ、あまり名前で呼ばれることはない。

「僕には、大切な彼女がいるし
モリちゃんは大事な友達だよ」

ノートをバックにしまい、彼は静かに椅子から立ち上がった