勿論3人共ペンネーム。

本当はどこの誰かなんてわからないし、年齢も知らないし、もしかしたら性別すら嘘かもしれない。

でも、そんなことはお互い様だ。

私だって、年齢は25歳と正直に公開しているものの、『南川月《みなみかわ つき》』という恥ずかしいペンネームを名乗っているのだ。

ちなみに、月は本名のルナを言い換えたもの。

けれど苗字の南川は、大雅の苗字「南」と私の苗字「及川《おいかわ》」を合体させたものだから、本当になんというか、いたたまれない。

パスワードといいペンネームといい、初恋を拗らせ過ぎていて呆れる。

ああそうだ、DMを確認しないと。

スマホよりパソコンでやり取りする方が手っ取り早いので、私は再びパソコンに視線を戻す。

画面右下のデジタル表示は夜の11時、この時間のメールの送り主は容易に想像が付いた。

『月さん、こんばんは。起きてます?』

殆ど毎晩のようにメールをやり取りするようになったのは、一体いつからだろう。

「起きてるよ、コタローくん」

予想した通りの相手、北瀬虎太朗さんに、私はすぐにそう返した。