『ねえ、月さん。例えばね』

「ん?」

『もしも半年後に世界が終わるなら、なにがしたい?』

「えー、なんで半年後なの?」

普通なら「明日世界が終わるなら」な気がするのに、半年なんてとても中途半端だ。

それにしても、ずいぶんロマンチックな質問をしてくるものだ。

『明日だとありきたりだし、1年後だと少し遠いかなと。小説にするには終わるまでの1年を細かく書くのは長いですしね(笑)』

「確かに! うーん、半年かあ。なんだろうなあ……コタローくんは何がしたい?」

私がそう聞き返すと、彼の返信が来るまでに、少しだけ間が空いた。

『僕は、恋がしたいかな』

「恋? 最後の恋ってこと? ロマンチックだね」

『なんか照れますね(笑)』

「でもいいね、私も恋がしたいかな」

カラダだけで繋がった偽物の恋なんかじゃなく、胸を焦がすような本気の恋がしたい。

さっきまで大雅と過ごした泡沫の甘い時間を思い出しながら、私はそう返した。