鳳山咲久さんの話を終えると、話題は互いの小説に移った。

2人共連載をしているから、その最新話についての感想だった。

『それにしても、毎回リアルですね』

彼が言っているのは、例の「初恋の人のセフレになっちゃった」小説についてだ。

ちなみに、こんなふざけたタイトルではない。

「そうかな、ありがとう」

実話を元に書いているのだからリアルに決まっているのだが……まさか「セフレがいます」なんてカミングアウトできないから、そう答えた。

『描写が赤裸々すぎて、 読んでて困る時がありますけど(笑)』

「あー、R18シーン? 失礼しました(笑)」

『かなり規定ギリギリですよね 』

「だって、変なオブラートに包んだら、逆に官能小説になっちゃうw」

『官能小説(笑)』

「まあ真面目な話、ただの美学なの。綺麗じゃないから綺麗? うまく言えないけど……わかる?」

『あー、すごくわかりますよ。淡々としてるからこそ切ない、とかの仲間 』

「そうそう。そこを目指してる」

『なるほどね。納得です』

きっと感性が近いであろうコタローくんとのやり取りは、とても楽しい。