「あの巻き髪の子、弟のことチラチラ見てるよね。あれは、狙ってるわ。いいの姉?」

話すネタもなくなった頃、柊碧人の観察をなんとなく二人でしていると、巻き髪の子が柊碧人に話しかけた。
たぶん新入生だろう。あどけなくて可愛らしい。柊碧人も受け答えをして、それとなく会話は続いてる。

「変わったな、あいつ」

わたしが呟くと、みっこが「何が?」と訊く。

「あんなに愛想がいい奴ではなかった」
「そうなの? でも、けっこうクールじゃない?」
「女の人が苦手だったから、あんな風に声をかけても、会話なんて続けなかったよ」
「苦手だった? へえ。あんなにイケメンなのにね。勿体ない。でも、なおったんだ。慣れってやつ?都会に染まったんだね」
「いや、わたしが友達ごっこしてあげたからかな」
「何それ? 意味わからん」

みっこは眉をひそめた。




「じゃあ、二次会に行く人、こっちに集合!」

お店を出ると部長が点呼を取り始めた。
わたしとみっこは二次会は行かないと決めていたので、ここで別れた。
柊碧人の姿を見ると、さっきの巻き髪の子と話をしていた。もしかしたら、あの子と一緒に参加するのかもしれないな。
声をかけずに、その場を離れた。