人見知りだからと柊碧人は言うけど、高校生の彼を知っているわたしからしたら、今の彼は、人と打ち解けることに抵抗を感じなくなっているように見えた。

挨拶されれば、柔らかい顔で挨拶をするし、苦手だといった女の子に声をかけられても、男の子と変わらない温度で対応しているように見えた。

新刊コンパの日、大学近くの居酒屋に集合した。お座敷には人がいっぱいいて、新入生含め、新しい出会いに浮足だった様子だけど、みっこの付き合いで来た程度のわたしには、ただ眩しく感じるだけだった。

乾杯の挨拶が終わると、わたしの横に座っていたみっこが生ビールのジョッキを持って、
「お、今日は来てるんじゃん。あんたの弟」と、入り口の近くに座っている柊碧人を顎でさした。

「ええ。うちの弟も来てますよ」

みっこは、柊碧人がわたしの家に入り浸っているのを知っている。そして、二人でご飯を食べて、あとは帰るだけということも知っているから、彼を弟と陰で呼んでいる。