/*** リン=フリークス・マノーラ Side ***/
ドアがノックされて、マヤが、僕・・・俺の首から離れる。
そして、3人の美少女を招き入れる。
二人とは面識がある。もう1人が・・・・静川瞳だ。椅子の準備ができなかったので、2つある椅子を、イリメリとフェムに座ってもらう。ミルとマヤは、ベッドに腰掛ける。その横に、俺が座る格好になる。
少しいびつだがしょうがない。ひとみもすごく美人だな。ミルとは違った感じだけど、白じゃなくて、銀髪なのだろうな。
アニメの中に出てくる美少女という感じだな。
「リン!」
あぁそうだった
「それで?フェムさんとはこの前会いましたよね?」
「そうだね。ほら、イリメリ!」
「あっごめんなさい。私は、イリメリ=ジングフーベル・バーチスです」
「丁寧にありがとうございます。俺は、リン=フリークス・テルメン」
そう言って、握手を求める。
ステータスの確認を行っても大丈夫というサインだが、イリメリは少し躊躇してから、握手に応じた。
真命:静川瞳
ジョブ:炎術師
体力:180
魔力:320
腕力:90
敏捷性:120
魅力:60
魔法:赤魔法(1)
瞳で間違いないようだ。
それにしても、重久と瓜二つ。持っている属性が違うだけなのだな。ステータス値は確かにチートだけど、ミルの方がチートなのが気になる。何か、過去が関係しているのだろうか?
手を離す。
「さて、大まかなことは、ミトナルさんに聞きました。真命とジョブをスキルを隠蔽したいとの事ですか間違いないですか?」
「えぇそうです。お願いできますか?」
「可能には、可能ですが、俺にメリットがありません。ミトナルさんは、妹のマヤを助けてもらったというお礼の意味がありました」
フェムとイリメリが顔を見合わせる。
ミルの方を見ているが、ミルは我関せずの様子だ。
「リン。そんな事言わないで、助けてあげたら?」
そんな二人に、マヤが助け舟をだす。これに乗ってきたら、俺は、この話を降りる。
「いえ、マヤさん。リンさんのいうことは当然のことです。私たちに提示できるメリットは・・・仲間の承諾が必要になる場合もありますが、商隊での買い物の値引きや、妹さんがおっしゃっていた、命を狙われる件に関して上位貴族の娘と協会関係者の者が、何かしらの協力が出来るかも知れません」
おぉさすがは、ひとみだな。
「あっ家の食堂の割引が受けられる!」
「おぉそれは魅力的ですね。看板娘さんに毎回付き添いをお願いしても?」
「忙しい時じゃなければOKですよ!」「リン!」「リンさん?」
おっと調子に乗らないようにしないとな。
「あと、武器職人の娘が居るので、好みの武器を作らせる事が出来ると思います」
「そうですか、今お聞きした事は魅力的です」
「それでは?」
「イリメリさん。落ち着いてください。魅力的ですが、貴女が提示出来る物ではありませんよね?全員から、利益を搾取しようとは思っておりませんが、貴女自信のお話をお聞きしたいと思います」
「え?」
あぁ困った時の、ひとみの仕草だ。
こんな所まで・・当然だな。外見がいくら変わろうと、ひとみなのは間違いないのだろう。ひとみや重久には、是非生き残って欲しい。そのためにも、俺が協力出来る用な話をして欲しい。
「私は、1人の男子に、酷いことを言って、違う、してしまった。貴方と同じ”凛”と呼ばれる男子です。私は、彼に謝りたい。謝って、彼の手助けをしたい。彼が戦えないのなら、私が盾となって戦う。彼が望むなら、私のすべてを彼に支払ってもいい。もう後悔したくない・・・リンさん。貴方を見ていると、私は、凛君を思い出してしまう。全然似てないのに、ううん。すごく似ている。だから、甘えてしまったのかもしれない。ごめんなさい」
ひとみは、下に向けた視線をあげて、まっすぐに俺を見た
「リンさん。私たちに協力してください。私が提示できる物は、私自身しかありません。しかし、私は、彼の”ため”にあります。まだどこにいるのかもわからない彼のためです。ですので、リンさんに提示出来る事は、今後、一度、貴方のために戦います。ステータスを拝見した所、戦闘に不向きなように思われます。どうでしょうか?」
「そうですね。もし、俺が、貴女に、貴女が大切に思っている人を殺してくれとお願いするかも知れませんよ?」
「それはできません」
手を、足の上で組んで、考えるフリをする。
「わかりました。協力しましょう」
「よろしいのですか?」
「えぇいいですよ。そのかわり、保険を1つ打たせていただきます」
「保険?」
「はい。それは、他の皆様とお会いした時でよろしいですか?」
「はい。かまいません」
「それでは、場所を移動しましょうか?」
「え?」「へ?」
イリメリと、フェムが何?って顔をしている。
「いえ、真命とジョブとスキルを隠蔽するのは、お二人だけでは無いのですよね?」
二人は、お互いの顔を見て、うなずいた。
それから、二人が、皆の所に案内するという事になった。
「ねぇリン。僕、ミルと買い物に行こうかと思うけど、いい?」
「いいけど、ミルはいいのか?」
「問題ない。さっき言っていた、リンさんからの条件。僕は、無条件で賛成でいいけど・・・イリメリ頼める?」
「え?いいわよ」
「ミル。それじゃ、マヤの護衛頼むな」
「うん。任せて!」
「マヤ。あんまり無駄遣いするなよ?」
「うん。大丈夫。ミル。行こう!」
「ん!」
ミルとマヤが、ベッドから降りて、フェムとイリメリに一礼して、部屋から出ていった。
「フェムさん。イリメリさん。行きましょう」
「あ。そうね。私の家だから正面だよ」
「わかりました。いきなり、俺が入るのも、問題でしょうから、下で待っています。大丈夫なら迎えに来てください」
「はい。わかりました」
最後は、イリメリが締めるようだ。
これは変わらないのだね。
食堂の奥で待っている事になった。
/*** マヤ・アルセイド Side ***/
「マヤ!」
「どうしたの?」
「なんで、僕を誘ったの?リンの話が終わってからでもよかったはず」
「うーん。簡単にいうと、ミルと話がしたかった」
「僕?」
「そう、ミルとね。あと、買い物したかったって言うのも本当だよ。武器とか盗まれちゃっているから、しっくりくる物がなかったからね」
「僕、王都知らない。ごめん」
「ううん。買い物は、二の次だよ。まずは、ミルとリンの事を話したかった」
「リン?」
「そ、私が知らない、リンの事!」
私が、ミルに聞きたいのは、本当は別の事。
でも、まずは、ミルが話しやすい事から聞いてみようと思う。
「マヤ・・・ごめん。実は、僕、あまり、凛くんの事を知らない。ひとみさんや重久さんの方が詳しいと思う」
「え?そうなの?それで、なんで?」
「ごめん。まだ言えない。リンに話す時に聞いて欲しい。マヤ。僕も聞いていい?」
「いいよ?」
「なんで、僕なの?リンのためになるのなら、僕よりも、フェムやイリメリやルアリーナの方がいいと思う」
「うーん。僕は、マヤが一番、リンの事を大事に思ってくていると思ったからかな?これじゃダメ?」
「ううん。リンの事を想っているかはわからないけど、リンのためなら、何でも出来る」
「本当?」
「うん」
ミルの気持ちがわからないのはここだ、リンの事をよく知らないと言っておきながら、なんでも出来ると言ってくれる。
「もし、もしだよ。リンが、俺のために、敵方の・・・立花だっけ?彼に抱かれろと言われても従うの?」
「うん。リンがそんな命令するとは思えないけど、悩んで、それしか方法がないと言うのなら、それに従う」
「・・・。ミル」
「なに?」
ミルはどこかが壊れているのかもしれない。時々リンに感じた感じにすごく似ている。自己犠牲とかではなく、自然に自分を殺せる人なのかも知れない。
「ねぇミル。リンが、僕を殺せと命令したら?」
「殺す」
「リンが、自分を殺せと命令したら?」
「リンを殺した後で、僕も死ぬ。ただそれだけ?リンが居ない世界に興味がない」
ノータイムで答えた。
本当に、リン以外には興味が無いのかも知れない。
なぜそこまでという思いは当然有る。当然有るのだが、そんなミルとの相性がいいのが一番うれしい。
ミルの腕を取る。
「ね。ミル。これからも仲良くしてね」
「うん。マヤがそれを望むなら。リンがダメだと言わない限り」
「ありがとう。買い物に行こう!」
「わかった」
リンが持っているマジックポーチに入れていけばいいから、大量に武器を買っても大丈夫だろう。
ミルと、いろんな店に言って、大量に買って宿屋に戻った。
リンはまだ帰ってきていなかったので、罰として、ミルの部屋を延長しないで、3人部屋に移動する事にした。
沢山の可愛い子に囲まれて、鼻の下伸ばしているリンにはそのくらいでいい。
明日には、ポルタに行く事になるだろうから、今日は、僕とミルでリンを挟んで寝る事にした。ミルも同意してくれた。
/*** リン=フリークス・テルメン ***/
同級生たち、8名が揃っている。ミトナル=和葉は、マヤと買い物に行っている。
さて、俺が、神崎凛だとばれないようにしないとならない。
さっきから、中里や熱川から、引掛けに近いような話がされている。日本の事や、アニメの事だ。危うく反応してしまいそうになった。マヤを連れてくるべきだった。マヤが反応しなかったら、それは俺も反応しないほうがいい話だという事になる。
正直拷問に近い。
いっその事、ばらしてしまおうかと思った事が、何度有ったことか・・・でも耐えている。
「それで、リンさん。私たちへの要求を教えてください」
やはり、フェムが仕切るようだ。
この話を始めるまでの15分間はなにかの儀式だったのか?女子の匂いにやられてしまいそうだ。そうだ、風呂がないから余計に匂いが・・・ダメだ考えてはダメだ。今日、マヤと寝る時に反応してしまったら困る。
「あっ保険の話ですか?」
「そうです。皆には保険を私たちが受け入れたら、契約になると話してあります」
「はい。概ねそう考えてくれて大丈夫です。その前に、1つ実験をしたいと思います。貴方たちにも関係する事ですので、是非付き合ってください」
フェムが、皆を見回す。
うなずいているので、大丈夫だろう。
「はい。大丈夫です」
「それでは、鑑定持ちがいましたよね?この小汚い袋を鑑定してみてください」
話は、マヤとミルから聞いている。サリーカが、鑑定持ちだ。
テーブルの真ん中に、マジックポーチを置いたら、やはりサリーカがポーチを手にとって・・・驚愕の表情を浮かべている。
「なに!これ!え?アーティファクト?なの?ですか?」
言葉遣いがおかしいけど、そうなるよな。
「えぇそうですね。ある人に託された物です。えぇと・・・」
「あっサリーカ・セトラス。サリーカって呼んで!」
「すみません。サリーカさん。そのマジックポーチから、物を取り出せるかやってみてください。他の方もどうぞ?中は、一部を除いで安全な物ですので、大丈夫です」
「なんだか、安心できな言い方だな」
「いえ、それを俺に託した人物が、少し・・・いや、かなり適当な人で、弁当やら、魔物の肉やらを大量に入れていて、それらが腐ってしまっているのです」
「あぁ・・・完全に時間が止まるわけじゃないからね」
「そうですね。実験してみた所、1/3000程度だとは思いますが、確実じゃないのです。でも、今はそれは関係なくて、サリーカさんどうですか?」
「無理。普通の袋。一度、アーティファクトの収納袋は使った事があるけど、あれとは違うの?」
「俺は、他の袋をしらないので、それが普通だと思っています」
「そうか・・・」
どうやら、誰にも取り出せないようだ。
「その袋の中身は、俺以外には取り出せない事がわかっってもらえたと思います。それでは、フェムさん。何か書くものはありませんか?」
「あるよ!」
羊皮紙とペンを持ってきてくれる。
最初に、俺が、自分の名前を書く。もちろん、こっちの文字だ。
「これから、この羊皮紙に、貴女たちの真命と名前を書いてもらいます。ミルさんには後で書いてもらいます。ミルさんにお聞きした所、本当の真命は、俺が読めない文字だという事ですので、それで書いてください。その後、希望する真命に隠蔽します。ジョブとスキルもです。やり方は、その時に説明します。それで、貴女たちの事を、俺に話をしてください。話を聞いた後で、隠蔽をしないなどという事はしません。これでどうでしょうか?フェムさん。部屋と1つ貸してください。俺は、そこで待っています。納得できた人から、来てください。そして、出来上がった、羊皮紙は、先程のマジックポーチに入れて保管します」
フェムは、正面の部屋を使ってくれと言ってくれて、案内してくれた。
最初に部屋に入ってきたのは、予想通りにフェムだ。
羊皮紙に、名前を書く。その隣に、”カタカナ”で、フェナサリム・ヴァーヴァンと書きやがった。
「フェムさん。名前は、俺にも読めるようにお願いします」
「え?あっごめん。間違えちゃった」
てへぺろみたいな感じで、舌をだしながら謝ってきたが、絶対にわざとやっている。まだ疑っているのだろう。
「それで、私の話って何を話せばいい?」
「なんでもいいですよ。俺を信頼させるような話をしてくれたら嬉しいですが、そうじゃなくてもいいですよ。過去の事でもいいですし、恥ずかしい失敗でもいいでし、これからやりたい事でもいいですよ」
ファムは、少し考えてから、”ギルド構想”を語ってくれた。
そこに、自分が好きな男子をトップにそえたいと言っていた。誰の事なのかは明言しなかった。そうすれば、ギルドを大きくできたら、有名になれるだろうという事だ。構想自体は悪くない。悪くないが、決め手にかけるという所か・・・立花たちが、国を取ったり、アドラの言葉を”悪名でもOK”と取れば、残虐非道な行いを始めるだろう。そうした時に、ギルドの長よりも、明日命を奪いに来る人間の方が有名になれるだろう。アドラの話を解釈する時に、難しくなってくるのは、その部分でもある。
次に会う時に聞く事も出来るが、聞いてしまってそれでOKとなる時のリスクが測れない。
だから、フェムへの指摘は、後で行えばいいだろう。ミルにしてもらってもいい。
まずは、フェムの真命の変更と、ジョブの変更とスキルの隠蔽を行う。
手順は、ミルで判明しているから、大丈夫だ。真命とジョブは自分でやってもらう。スキルの隠蔽に関しては、まずは、隠蔽を外してもらってから、俺が、隠蔽したい物を教えてもらいながら行っていく。
これで終わり・・・。
1人辺り、20分くらいか・・・今日は、長くなりそうだ。
ドアがノックされて、マヤが、僕・・・俺の首から離れる。
そして、3人の美少女を招き入れる。
二人とは面識がある。もう1人が・・・・静川瞳だ。椅子の準備ができなかったので、2つある椅子を、イリメリとフェムに座ってもらう。ミルとマヤは、ベッドに腰掛ける。その横に、俺が座る格好になる。
少しいびつだがしょうがない。ひとみもすごく美人だな。ミルとは違った感じだけど、白じゃなくて、銀髪なのだろうな。
アニメの中に出てくる美少女という感じだな。
「リン!」
あぁそうだった
「それで?フェムさんとはこの前会いましたよね?」
「そうだね。ほら、イリメリ!」
「あっごめんなさい。私は、イリメリ=ジングフーベル・バーチスです」
「丁寧にありがとうございます。俺は、リン=フリークス・テルメン」
そう言って、握手を求める。
ステータスの確認を行っても大丈夫というサインだが、イリメリは少し躊躇してから、握手に応じた。
真命:静川瞳
ジョブ:炎術師
体力:180
魔力:320
腕力:90
敏捷性:120
魅力:60
魔法:赤魔法(1)
瞳で間違いないようだ。
それにしても、重久と瓜二つ。持っている属性が違うだけなのだな。ステータス値は確かにチートだけど、ミルの方がチートなのが気になる。何か、過去が関係しているのだろうか?
手を離す。
「さて、大まかなことは、ミトナルさんに聞きました。真命とジョブをスキルを隠蔽したいとの事ですか間違いないですか?」
「えぇそうです。お願いできますか?」
「可能には、可能ですが、俺にメリットがありません。ミトナルさんは、妹のマヤを助けてもらったというお礼の意味がありました」
フェムとイリメリが顔を見合わせる。
ミルの方を見ているが、ミルは我関せずの様子だ。
「リン。そんな事言わないで、助けてあげたら?」
そんな二人に、マヤが助け舟をだす。これに乗ってきたら、俺は、この話を降りる。
「いえ、マヤさん。リンさんのいうことは当然のことです。私たちに提示できるメリットは・・・仲間の承諾が必要になる場合もありますが、商隊での買い物の値引きや、妹さんがおっしゃっていた、命を狙われる件に関して上位貴族の娘と協会関係者の者が、何かしらの協力が出来るかも知れません」
おぉさすがは、ひとみだな。
「あっ家の食堂の割引が受けられる!」
「おぉそれは魅力的ですね。看板娘さんに毎回付き添いをお願いしても?」
「忙しい時じゃなければOKですよ!」「リン!」「リンさん?」
おっと調子に乗らないようにしないとな。
「あと、武器職人の娘が居るので、好みの武器を作らせる事が出来ると思います」
「そうですか、今お聞きした事は魅力的です」
「それでは?」
「イリメリさん。落ち着いてください。魅力的ですが、貴女が提示出来る物ではありませんよね?全員から、利益を搾取しようとは思っておりませんが、貴女自信のお話をお聞きしたいと思います」
「え?」
あぁ困った時の、ひとみの仕草だ。
こんな所まで・・当然だな。外見がいくら変わろうと、ひとみなのは間違いないのだろう。ひとみや重久には、是非生き残って欲しい。そのためにも、俺が協力出来る用な話をして欲しい。
「私は、1人の男子に、酷いことを言って、違う、してしまった。貴方と同じ”凛”と呼ばれる男子です。私は、彼に謝りたい。謝って、彼の手助けをしたい。彼が戦えないのなら、私が盾となって戦う。彼が望むなら、私のすべてを彼に支払ってもいい。もう後悔したくない・・・リンさん。貴方を見ていると、私は、凛君を思い出してしまう。全然似てないのに、ううん。すごく似ている。だから、甘えてしまったのかもしれない。ごめんなさい」
ひとみは、下に向けた視線をあげて、まっすぐに俺を見た
「リンさん。私たちに協力してください。私が提示できる物は、私自身しかありません。しかし、私は、彼の”ため”にあります。まだどこにいるのかもわからない彼のためです。ですので、リンさんに提示出来る事は、今後、一度、貴方のために戦います。ステータスを拝見した所、戦闘に不向きなように思われます。どうでしょうか?」
「そうですね。もし、俺が、貴女に、貴女が大切に思っている人を殺してくれとお願いするかも知れませんよ?」
「それはできません」
手を、足の上で組んで、考えるフリをする。
「わかりました。協力しましょう」
「よろしいのですか?」
「えぇいいですよ。そのかわり、保険を1つ打たせていただきます」
「保険?」
「はい。それは、他の皆様とお会いした時でよろしいですか?」
「はい。かまいません」
「それでは、場所を移動しましょうか?」
「え?」「へ?」
イリメリと、フェムが何?って顔をしている。
「いえ、真命とジョブとスキルを隠蔽するのは、お二人だけでは無いのですよね?」
二人は、お互いの顔を見て、うなずいた。
それから、二人が、皆の所に案内するという事になった。
「ねぇリン。僕、ミルと買い物に行こうかと思うけど、いい?」
「いいけど、ミルはいいのか?」
「問題ない。さっき言っていた、リンさんからの条件。僕は、無条件で賛成でいいけど・・・イリメリ頼める?」
「え?いいわよ」
「ミル。それじゃ、マヤの護衛頼むな」
「うん。任せて!」
「マヤ。あんまり無駄遣いするなよ?」
「うん。大丈夫。ミル。行こう!」
「ん!」
ミルとマヤが、ベッドから降りて、フェムとイリメリに一礼して、部屋から出ていった。
「フェムさん。イリメリさん。行きましょう」
「あ。そうね。私の家だから正面だよ」
「わかりました。いきなり、俺が入るのも、問題でしょうから、下で待っています。大丈夫なら迎えに来てください」
「はい。わかりました」
最後は、イリメリが締めるようだ。
これは変わらないのだね。
食堂の奥で待っている事になった。
/*** マヤ・アルセイド Side ***/
「マヤ!」
「どうしたの?」
「なんで、僕を誘ったの?リンの話が終わってからでもよかったはず」
「うーん。簡単にいうと、ミルと話がしたかった」
「僕?」
「そう、ミルとね。あと、買い物したかったって言うのも本当だよ。武器とか盗まれちゃっているから、しっくりくる物がなかったからね」
「僕、王都知らない。ごめん」
「ううん。買い物は、二の次だよ。まずは、ミルとリンの事を話したかった」
「リン?」
「そ、私が知らない、リンの事!」
私が、ミルに聞きたいのは、本当は別の事。
でも、まずは、ミルが話しやすい事から聞いてみようと思う。
「マヤ・・・ごめん。実は、僕、あまり、凛くんの事を知らない。ひとみさんや重久さんの方が詳しいと思う」
「え?そうなの?それで、なんで?」
「ごめん。まだ言えない。リンに話す時に聞いて欲しい。マヤ。僕も聞いていい?」
「いいよ?」
「なんで、僕なの?リンのためになるのなら、僕よりも、フェムやイリメリやルアリーナの方がいいと思う」
「うーん。僕は、マヤが一番、リンの事を大事に思ってくていると思ったからかな?これじゃダメ?」
「ううん。リンの事を想っているかはわからないけど、リンのためなら、何でも出来る」
「本当?」
「うん」
ミルの気持ちがわからないのはここだ、リンの事をよく知らないと言っておきながら、なんでも出来ると言ってくれる。
「もし、もしだよ。リンが、俺のために、敵方の・・・立花だっけ?彼に抱かれろと言われても従うの?」
「うん。リンがそんな命令するとは思えないけど、悩んで、それしか方法がないと言うのなら、それに従う」
「・・・。ミル」
「なに?」
ミルはどこかが壊れているのかもしれない。時々リンに感じた感じにすごく似ている。自己犠牲とかではなく、自然に自分を殺せる人なのかも知れない。
「ねぇミル。リンが、僕を殺せと命令したら?」
「殺す」
「リンが、自分を殺せと命令したら?」
「リンを殺した後で、僕も死ぬ。ただそれだけ?リンが居ない世界に興味がない」
ノータイムで答えた。
本当に、リン以外には興味が無いのかも知れない。
なぜそこまでという思いは当然有る。当然有るのだが、そんなミルとの相性がいいのが一番うれしい。
ミルの腕を取る。
「ね。ミル。これからも仲良くしてね」
「うん。マヤがそれを望むなら。リンがダメだと言わない限り」
「ありがとう。買い物に行こう!」
「わかった」
リンが持っているマジックポーチに入れていけばいいから、大量に武器を買っても大丈夫だろう。
ミルと、いろんな店に言って、大量に買って宿屋に戻った。
リンはまだ帰ってきていなかったので、罰として、ミルの部屋を延長しないで、3人部屋に移動する事にした。
沢山の可愛い子に囲まれて、鼻の下伸ばしているリンにはそのくらいでいい。
明日には、ポルタに行く事になるだろうから、今日は、僕とミルでリンを挟んで寝る事にした。ミルも同意してくれた。
/*** リン=フリークス・テルメン ***/
同級生たち、8名が揃っている。ミトナル=和葉は、マヤと買い物に行っている。
さて、俺が、神崎凛だとばれないようにしないとならない。
さっきから、中里や熱川から、引掛けに近いような話がされている。日本の事や、アニメの事だ。危うく反応してしまいそうになった。マヤを連れてくるべきだった。マヤが反応しなかったら、それは俺も反応しないほうがいい話だという事になる。
正直拷問に近い。
いっその事、ばらしてしまおうかと思った事が、何度有ったことか・・・でも耐えている。
「それで、リンさん。私たちへの要求を教えてください」
やはり、フェムが仕切るようだ。
この話を始めるまでの15分間はなにかの儀式だったのか?女子の匂いにやられてしまいそうだ。そうだ、風呂がないから余計に匂いが・・・ダメだ考えてはダメだ。今日、マヤと寝る時に反応してしまったら困る。
「あっ保険の話ですか?」
「そうです。皆には保険を私たちが受け入れたら、契約になると話してあります」
「はい。概ねそう考えてくれて大丈夫です。その前に、1つ実験をしたいと思います。貴方たちにも関係する事ですので、是非付き合ってください」
フェムが、皆を見回す。
うなずいているので、大丈夫だろう。
「はい。大丈夫です」
「それでは、鑑定持ちがいましたよね?この小汚い袋を鑑定してみてください」
話は、マヤとミルから聞いている。サリーカが、鑑定持ちだ。
テーブルの真ん中に、マジックポーチを置いたら、やはりサリーカがポーチを手にとって・・・驚愕の表情を浮かべている。
「なに!これ!え?アーティファクト?なの?ですか?」
言葉遣いがおかしいけど、そうなるよな。
「えぇそうですね。ある人に託された物です。えぇと・・・」
「あっサリーカ・セトラス。サリーカって呼んで!」
「すみません。サリーカさん。そのマジックポーチから、物を取り出せるかやってみてください。他の方もどうぞ?中は、一部を除いで安全な物ですので、大丈夫です」
「なんだか、安心できな言い方だな」
「いえ、それを俺に託した人物が、少し・・・いや、かなり適当な人で、弁当やら、魔物の肉やらを大量に入れていて、それらが腐ってしまっているのです」
「あぁ・・・完全に時間が止まるわけじゃないからね」
「そうですね。実験してみた所、1/3000程度だとは思いますが、確実じゃないのです。でも、今はそれは関係なくて、サリーカさんどうですか?」
「無理。普通の袋。一度、アーティファクトの収納袋は使った事があるけど、あれとは違うの?」
「俺は、他の袋をしらないので、それが普通だと思っています」
「そうか・・・」
どうやら、誰にも取り出せないようだ。
「その袋の中身は、俺以外には取り出せない事がわかっってもらえたと思います。それでは、フェムさん。何か書くものはありませんか?」
「あるよ!」
羊皮紙とペンを持ってきてくれる。
最初に、俺が、自分の名前を書く。もちろん、こっちの文字だ。
「これから、この羊皮紙に、貴女たちの真命と名前を書いてもらいます。ミルさんには後で書いてもらいます。ミルさんにお聞きした所、本当の真命は、俺が読めない文字だという事ですので、それで書いてください。その後、希望する真命に隠蔽します。ジョブとスキルもです。やり方は、その時に説明します。それで、貴女たちの事を、俺に話をしてください。話を聞いた後で、隠蔽をしないなどという事はしません。これでどうでしょうか?フェムさん。部屋と1つ貸してください。俺は、そこで待っています。納得できた人から、来てください。そして、出来上がった、羊皮紙は、先程のマジックポーチに入れて保管します」
フェムは、正面の部屋を使ってくれと言ってくれて、案内してくれた。
最初に部屋に入ってきたのは、予想通りにフェムだ。
羊皮紙に、名前を書く。その隣に、”カタカナ”で、フェナサリム・ヴァーヴァンと書きやがった。
「フェムさん。名前は、俺にも読めるようにお願いします」
「え?あっごめん。間違えちゃった」
てへぺろみたいな感じで、舌をだしながら謝ってきたが、絶対にわざとやっている。まだ疑っているのだろう。
「それで、私の話って何を話せばいい?」
「なんでもいいですよ。俺を信頼させるような話をしてくれたら嬉しいですが、そうじゃなくてもいいですよ。過去の事でもいいですし、恥ずかしい失敗でもいいでし、これからやりたい事でもいいですよ」
ファムは、少し考えてから、”ギルド構想”を語ってくれた。
そこに、自分が好きな男子をトップにそえたいと言っていた。誰の事なのかは明言しなかった。そうすれば、ギルドを大きくできたら、有名になれるだろうという事だ。構想自体は悪くない。悪くないが、決め手にかけるという所か・・・立花たちが、国を取ったり、アドラの言葉を”悪名でもOK”と取れば、残虐非道な行いを始めるだろう。そうした時に、ギルドの長よりも、明日命を奪いに来る人間の方が有名になれるだろう。アドラの話を解釈する時に、難しくなってくるのは、その部分でもある。
次に会う時に聞く事も出来るが、聞いてしまってそれでOKとなる時のリスクが測れない。
だから、フェムへの指摘は、後で行えばいいだろう。ミルにしてもらってもいい。
まずは、フェムの真命の変更と、ジョブの変更とスキルの隠蔽を行う。
手順は、ミルで判明しているから、大丈夫だ。真命とジョブは自分でやってもらう。スキルの隠蔽に関しては、まずは、隠蔽を外してもらってから、俺が、隠蔽したい物を教えてもらいながら行っていく。
これで終わり・・・。
1人辺り、20分くらいか・・・今日は、長くなりそうだ。