/*** ??? Side ***/
「どうだ?」
「はい。例年通りです」
「そうか?宰相派閥の貴族がパシリカに来たら、別室に通せよ」
「心得ております」
「まぁそうしないでも、奴らは、”特別”を求めるだろうからな」
「はい。嘆かわしい事です」
1人は、法衣を着ている事から、教会関係者である事がわかる。
もうひとりは、法衣を着ていない。貴族なのだろう。小奇麗な格好をしている。
もうひとり、黙って、二人の話を聞いている人物が口を開いた
「今年、問題になりそう者は?」
「はっアゾレム男爵の跡継ぎがパシリカを受ける年齢です」
「そうか、アゾレムか・・・それは、また厄介だな」
3人の間に微妙な風が通り抜ける。
「そう言えば、コンラートの所も今年だったな?」
「はっ娘のフレットが今年、パシリカです。当日は混み合いますので、明日、パシリカを受けさせます」
「そうか、特別室か?」
「陛下。怒りますよ。娘とは言え、無官の身です。並ばせて受けさせます。娘にも言い聞かせてあります」
「そうだったな。戯れじゃ許せ」
陛下と呼ばれた者が、もうひとりの貴族ぜんとした者に話しかける。
「そう言えば、ミヤナック。そなたの所も今年じゃったな」
「はい。娘は、本日受けさせて、そのまま、一般の参列者と共に数日過ごすように言ってあります」
コンラートと呼ばれた法衣を着た男が、ミヤナックと呼ばれた男の方を向いて、笑いかけるように話しかける。
「そうだったのか?それなら、フレットも、一緒に受けさせればよかったな」
「コンラート!教会関係者と貴族のそれも、ローザス殿下に近い家の者が一緒に居る所を・・・」
「違うだろう。ミヤナック。お主の所の、跡継殿が、可愛い妹と一緒に居る時間を作りたかっただけなのだろう?」
「違うといいたいが、概ねそうだ。でも、それを悟った、ルアリーナが侍女を連れて、隠し通路を通って出てしまってな。昼過ぎから大騒ぎだったぞ」
「それはさぞ騒がしかっただろうな」
陛下と呼ばれた男と、ミヤナックと呼ばれた貴族は、コンラートと呼ばれた法衣を着た男から、今年パシリカを受ける、問題を起こしそうな者たちの名前を説明していった。
要注意・・・親を含めて注意が必要な人物として、
・ウォルシャタ・フォン・アゾレム
・クンジナ=ユルワーフ・フォン・ドワイト
・ロラ・ゴーチエ
・フィリッチ・ボルダボ
の名前をあげている。
それ以外に、注意人物として、数十人の名前をあげて説明していた。
全部を聞き終えてから、ミヤナックと呼ばれた貴族の男が話し始める。
「ふぅ問題は、アゾレムとゴーチエとボルダボだな。ドワイトは、父親と跡継はしっかりしているのだろう?」
「どうだろうか?貴族には、貴族の”理”があるのだろう。教会には、そういう情報は入ってこない」
「そうか、ドワイトは、男爵家だが、領民をしっかり守っているという話だぞ、長男は身体は多少悪いが問題は無いだろう。次男の今年パシリカを受ける者は、素行が悪いと聞いている程度だからな。領地が、アゾレムの隣というのが気になると言えば気になる程度だな」
「儂としては、ボルダボの小僧の方を殺したいのだがな」
「お主にしては珍しいな」
「小僧は、フレットを嫁によこせと言ってきた!もちろん、破り捨てた上に、絶縁状を叩きつけたがな」
「ほぉ小僧がいい出したのか?」
「わからん。わからんが、小僧とフレットは顔なじみだからな。教会の行事で何度か会っている。それよりも、ボルダボ家の方が問題じゃよ」
「どうした?」
「まだ確証がないが・・・な。あやつら、パシリカのときに、ステータスを盗み見て、記憶して、宰相に流しているらしい。見返りは・・・」
「本当か?」
「かなり、黒に近いが、噂だ」
「なに?今日のパシリカは大丈夫だったのだな?」
「あぁ特別室以外は、儂が手配した神官を配置した。信頼もできるし、身元も確かな者たちだけだ」
「そうか、宰相は、貴族以外には豪商や自分に利益がある者しか興味がないからな」
陛下と呼ばれた男が、手を叩いた。
「よし、コンラートよ、それを調べてくれ、くれぐれもバレぬようにな」
「はっ」
「宰相の首を取る、絶好のチャンスかもしれん」
テーブルに置かれていた羊皮紙を丸めて、近くの暖炉に入れて、燃やした。
燃え尽きるのをまって、3人は、別々のドアから立ち去った。
/*** リン=フリークス・マノーラ Side ***/
僕は、今、危機に直面している。
昨日の夜。和葉を名乗る人物から手紙を貰った。そして、それを確認しながら、いろいろ考えていて、マヤが眠るベッドの横になり、暖かさに眠くなって、寝てしまった。
何がいいたいかというと、僕よりも、早く起きたマヤが”日本語”で書かれた手紙を見てしまった。
そして、文字が読めなかった事を不審に思って、鑑定で見た。
鑑定は優秀ですね。”ミトナル=セラミレラ・アカマース”という名前を表示しやがった。失礼、してくれた。
「リン!」
「はい」
「それで、この、ミトナルって誰?僕が知っている人?」
「見たことはあると思う程度かな?」
「どういうこと?はっきり教えて?誰なの?」
どう説明していいのかわからない。
”助けてドラ○もん”と叫んでも、猫型ロボットが助けに来てくれない。
「昨日、フェムと一緒に居た中の1人だと思う」
「なんで、そんな人が、リンに手紙を出すの?それも、こんななんて書いてあるかわからな物で?」
ん?読めない?
「マヤ?」
「なに?リン。僕の質問に答えてよね」
「あっうん。本当に、僕にもわからない」
「でも、リンには、これがわかるのだよね?”わからない”という事がわかるのだよね?」
本当に、こういう所はすごく感がいい。
「マヤ。今からいうことは、本当に突拍子もない事で、信じられないかも知れない。それでも聞いてくれる?」
「え?あっうん。リンが僕の事を騙そうとしない限り、信じるよ」
「どうしたら信じてくれる?」
「・・・・・・ス」
「ん?」
「キスして!」
マヤの頭をグリグリと撫で回す。
「大好きだよ。マヤ。嘘なんて言わないよ」
マヤを抱き寄せて、キスをした。昨日のキスとは違って、舌を絡めるような深いキスをした。
「リン。ごめん。でも、教えて、僕に何ができるかわからないけど、リンの役に立ちたい」
マヤを後ろから抱きしめる格好になって、股の間に座らせる。顔を見ながら話せる自信がない。
マヤは、僕の話す事を、しっかりと聞いてくれた。
”生まれ変わり”である事。こことは違う世界で産まれて、育った事。そして、和葉を始め、20人がこの世界にうまれかわっている事。
そして大事なこととして、神を名乗る子供に、21人で競わされている事。勝たないと、殺されてしまう可能性があることなどを説明した。端折った事はあるが、概ね間違っては居ないだろう。
「よくわからないけど、リンは、リンなんだよね?」
「そうだよ」
「居なくならないのだよね?」
「うん。そうならないためにも、何をしなっくちゃならないか考える必要がある」
「そう・・・それで、さっきのミトナルさんが、21人の中の1人なの?」
「うん。多分、僕の味方だと・・・思う」
「それじゃ会いに行かないとだね!」
「え?」
「え?行かないの?」
沈黙が流れる。
マヤが立ち上がって、僕の目線に合わせるように中腰になる。
「今のリンは、真命が書き換わっているのだよね?ミトナルさんが、なんで、リンの事がわかったのか、確かめないと、どうしたらいいのかわからないよね?」
「あぁぁ」
「それに、味方の可能性が高いのなら、話を聞くだけでもいいと思うよ。僕に聞かれたくないのなら、寂しいけど、席を外すよ」
「・・・そうだな。会いに行くか?マヤと二人なら、”いざ”となったら、逃げられるだろうし、二人なら怖くないよな?」
「うん。そうだよ!あっでも、そうだ!リン。さっきの手紙に、リンの”ちきゅう”?での名前書いて!」
「え?なんで?」
「いいから!」
マヤに言われるままに、”神崎凛”と書いた。
「へぇこれが、リンの真命なんだね?」
「そうだ!マヤ。真命で思い出した。ちょっと、僕を鑑定して、真命を見てみて」
「え?うん。いいよ」
戻さない状態で、真命を鑑定してもらった。
「リン=フリークス・マノーラって出ているよ」
「そうか、それじゃ、真命を元に戻すな。これで、鑑定してみて」
「うん!」
さて、どうなる?読めるのか?
「リン。これを読めばいいの?」
「あぁ僕の真命はどうなっている?」
「”リン=フリークス・テルメン”になっているよ。名前と一緒だよ」
そうか、うまくできているな。
”転生者”が見た時には、日本語で見えるけど、日本語が読めない人が見た時には、名前がそのままコピーされるのだな。
もう一つ実験をする。これが成功したら、和葉たちがなにかをやろうとしているのか、わからないけど助けになるだろう。
「マヤ。もう少しやってみたい事有るけどいい?」
「うん。今度はどうするの?」
「できるかわからないけど、マヤの真命を変えられるか試していい?」
「いいよ。変えられたら、僕の真命も、リンと同じにして欲しいな!」
「わかった。やってみるね」
まずは、マヤを鑑定して、出てきた真命を隠蔽できるかやってみるがダメだ。
今度は、マヤに触れながら、ステータスを表示させた状態で、真命を隠蔽してみる。できそうにない。
「マヤ。僕が、隠蔽を作動させるから、真命の変更を自分でやってみて」
「どうやるの?」
「僕がやっているのは、真命を変えると、念じてから、変えたい真命を考えればできると思うよ」
「わかった!」
「いい。”隠蔽”」
”マヤ=フリークス・マノーラ”に変更できている。このやり方でいいようだ。
「できたみたいだね」
「うん!これで、リンと同じだね!」
「ついでに、鑑定も隠蔽しておこう。あと、魔法の属性も隠蔽しておいたほうがいいだろうな」
「わかった!」
ついでに鑑定で見るけど、しっかり変更されている。つかれる。
自分のステータスを確認した。
真命:リン=フリークス・マノーラ
ジョブ:動物使い
体力:80
魔力:80
腕力:70
敏捷性:50
魅力:190(+250)
魔法:外(2)
スキル:隠蔽(4)、言語理解、念話(2)
ユニークスキル:動物との会話(1)(隠蔽)
エクストラスキル:万物鑑定(3)(隠蔽)
おっ隠蔽のレベルと、念話と、鑑定のレベルが上がっている。
隠蔽を鑑定してみる
// 隠蔽:ステータス/鑑定時に表示される項目の隠蔽及び変更ができるスキル
// レベル1:ジョブを除く項目の隠蔽/変更が可能
// レベル2:他人のジョブを除く項目の隠蔽/変更が可能
// レベル3:自分のジョブ項目の変更が可能
// レベル4:ステータス値の変更が可能
// レベル5:他人のステータス値の変更が可能
レベル5以上はなさそうだな。
それでも使い勝手がかなりいい。とりあえず、ジョブを変更して、ステータス値も変えておこう。
念話も鑑定しておこう
// 念話:頭の中で会話ができる。発声器官を持たない者との会話も可能
// レベル1:接触状態で会話ができる
// レベル2:非接触状態で会話ができる
// レベル3:念話を持たない者との会話ができる
// レベル4:これ以降は、レベルアップで会話可能距離が伸びる
「ねぇリン!すごい。変わっているね」
「あぁそうだ。マヤ。触って、ステータスを見る時と、鑑定で見る時で違いがないか見てくれないか?」
「うーん。いいけど、キスしながら、ステータス見ていい?」
「マヤ・・・いいよ。おいで!」
マヤを抱きしめた。
軽く触れるようなキスをした。
「リン。あのね」
「なに?」
「なんでもない。もっと、強く抱きしめて!」
「いいよ」
「嬉しい・・・。あっあのね」
マヤは、僕に抱きつきながら、耳元でささやくように話す。
「それでね。”念話”の項目が、鑑定では出るけど、ステータスチェックでは見えなかったよ」
「そう・・ありがと。念話の横の数字は見える?」
「ごめん。覚えてない。もう一度見ていい?」
「いいよ」
マヤは、自分から身体を預けて、長めのキスを求めてきた。
「鑑定では、数字が見えるけど、ステータスチェックでは見えなかったよ」
「マヤ。ありがとう。だいぶわかったよ」
ねぇリン。僕のわがまま聞いてくれる?」
「どうだ?」
「はい。例年通りです」
「そうか?宰相派閥の貴族がパシリカに来たら、別室に通せよ」
「心得ております」
「まぁそうしないでも、奴らは、”特別”を求めるだろうからな」
「はい。嘆かわしい事です」
1人は、法衣を着ている事から、教会関係者である事がわかる。
もうひとりは、法衣を着ていない。貴族なのだろう。小奇麗な格好をしている。
もうひとり、黙って、二人の話を聞いている人物が口を開いた
「今年、問題になりそう者は?」
「はっアゾレム男爵の跡継ぎがパシリカを受ける年齢です」
「そうか、アゾレムか・・・それは、また厄介だな」
3人の間に微妙な風が通り抜ける。
「そう言えば、コンラートの所も今年だったな?」
「はっ娘のフレットが今年、パシリカです。当日は混み合いますので、明日、パシリカを受けさせます」
「そうか、特別室か?」
「陛下。怒りますよ。娘とは言え、無官の身です。並ばせて受けさせます。娘にも言い聞かせてあります」
「そうだったな。戯れじゃ許せ」
陛下と呼ばれた者が、もうひとりの貴族ぜんとした者に話しかける。
「そう言えば、ミヤナック。そなたの所も今年じゃったな」
「はい。娘は、本日受けさせて、そのまま、一般の参列者と共に数日過ごすように言ってあります」
コンラートと呼ばれた法衣を着た男が、ミヤナックと呼ばれた男の方を向いて、笑いかけるように話しかける。
「そうだったのか?それなら、フレットも、一緒に受けさせればよかったな」
「コンラート!教会関係者と貴族のそれも、ローザス殿下に近い家の者が一緒に居る所を・・・」
「違うだろう。ミヤナック。お主の所の、跡継殿が、可愛い妹と一緒に居る時間を作りたかっただけなのだろう?」
「違うといいたいが、概ねそうだ。でも、それを悟った、ルアリーナが侍女を連れて、隠し通路を通って出てしまってな。昼過ぎから大騒ぎだったぞ」
「それはさぞ騒がしかっただろうな」
陛下と呼ばれた男と、ミヤナックと呼ばれた貴族は、コンラートと呼ばれた法衣を着た男から、今年パシリカを受ける、問題を起こしそうな者たちの名前を説明していった。
要注意・・・親を含めて注意が必要な人物として、
・ウォルシャタ・フォン・アゾレム
・クンジナ=ユルワーフ・フォン・ドワイト
・ロラ・ゴーチエ
・フィリッチ・ボルダボ
の名前をあげている。
それ以外に、注意人物として、数十人の名前をあげて説明していた。
全部を聞き終えてから、ミヤナックと呼ばれた貴族の男が話し始める。
「ふぅ問題は、アゾレムとゴーチエとボルダボだな。ドワイトは、父親と跡継はしっかりしているのだろう?」
「どうだろうか?貴族には、貴族の”理”があるのだろう。教会には、そういう情報は入ってこない」
「そうか、ドワイトは、男爵家だが、領民をしっかり守っているという話だぞ、長男は身体は多少悪いが問題は無いだろう。次男の今年パシリカを受ける者は、素行が悪いと聞いている程度だからな。領地が、アゾレムの隣というのが気になると言えば気になる程度だな」
「儂としては、ボルダボの小僧の方を殺したいのだがな」
「お主にしては珍しいな」
「小僧は、フレットを嫁によこせと言ってきた!もちろん、破り捨てた上に、絶縁状を叩きつけたがな」
「ほぉ小僧がいい出したのか?」
「わからん。わからんが、小僧とフレットは顔なじみだからな。教会の行事で何度か会っている。それよりも、ボルダボ家の方が問題じゃよ」
「どうした?」
「まだ確証がないが・・・な。あやつら、パシリカのときに、ステータスを盗み見て、記憶して、宰相に流しているらしい。見返りは・・・」
「本当か?」
「かなり、黒に近いが、噂だ」
「なに?今日のパシリカは大丈夫だったのだな?」
「あぁ特別室以外は、儂が手配した神官を配置した。信頼もできるし、身元も確かな者たちだけだ」
「そうか、宰相は、貴族以外には豪商や自分に利益がある者しか興味がないからな」
陛下と呼ばれた男が、手を叩いた。
「よし、コンラートよ、それを調べてくれ、くれぐれもバレぬようにな」
「はっ」
「宰相の首を取る、絶好のチャンスかもしれん」
テーブルに置かれていた羊皮紙を丸めて、近くの暖炉に入れて、燃やした。
燃え尽きるのをまって、3人は、別々のドアから立ち去った。
/*** リン=フリークス・マノーラ Side ***/
僕は、今、危機に直面している。
昨日の夜。和葉を名乗る人物から手紙を貰った。そして、それを確認しながら、いろいろ考えていて、マヤが眠るベッドの横になり、暖かさに眠くなって、寝てしまった。
何がいいたいかというと、僕よりも、早く起きたマヤが”日本語”で書かれた手紙を見てしまった。
そして、文字が読めなかった事を不審に思って、鑑定で見た。
鑑定は優秀ですね。”ミトナル=セラミレラ・アカマース”という名前を表示しやがった。失礼、してくれた。
「リン!」
「はい」
「それで、この、ミトナルって誰?僕が知っている人?」
「見たことはあると思う程度かな?」
「どういうこと?はっきり教えて?誰なの?」
どう説明していいのかわからない。
”助けてドラ○もん”と叫んでも、猫型ロボットが助けに来てくれない。
「昨日、フェムと一緒に居た中の1人だと思う」
「なんで、そんな人が、リンに手紙を出すの?それも、こんななんて書いてあるかわからな物で?」
ん?読めない?
「マヤ?」
「なに?リン。僕の質問に答えてよね」
「あっうん。本当に、僕にもわからない」
「でも、リンには、これがわかるのだよね?”わからない”という事がわかるのだよね?」
本当に、こういう所はすごく感がいい。
「マヤ。今からいうことは、本当に突拍子もない事で、信じられないかも知れない。それでも聞いてくれる?」
「え?あっうん。リンが僕の事を騙そうとしない限り、信じるよ」
「どうしたら信じてくれる?」
「・・・・・・ス」
「ん?」
「キスして!」
マヤの頭をグリグリと撫で回す。
「大好きだよ。マヤ。嘘なんて言わないよ」
マヤを抱き寄せて、キスをした。昨日のキスとは違って、舌を絡めるような深いキスをした。
「リン。ごめん。でも、教えて、僕に何ができるかわからないけど、リンの役に立ちたい」
マヤを後ろから抱きしめる格好になって、股の間に座らせる。顔を見ながら話せる自信がない。
マヤは、僕の話す事を、しっかりと聞いてくれた。
”生まれ変わり”である事。こことは違う世界で産まれて、育った事。そして、和葉を始め、20人がこの世界にうまれかわっている事。
そして大事なこととして、神を名乗る子供に、21人で競わされている事。勝たないと、殺されてしまう可能性があることなどを説明した。端折った事はあるが、概ね間違っては居ないだろう。
「よくわからないけど、リンは、リンなんだよね?」
「そうだよ」
「居なくならないのだよね?」
「うん。そうならないためにも、何をしなっくちゃならないか考える必要がある」
「そう・・・それで、さっきのミトナルさんが、21人の中の1人なの?」
「うん。多分、僕の味方だと・・・思う」
「それじゃ会いに行かないとだね!」
「え?」
「え?行かないの?」
沈黙が流れる。
マヤが立ち上がって、僕の目線に合わせるように中腰になる。
「今のリンは、真命が書き換わっているのだよね?ミトナルさんが、なんで、リンの事がわかったのか、確かめないと、どうしたらいいのかわからないよね?」
「あぁぁ」
「それに、味方の可能性が高いのなら、話を聞くだけでもいいと思うよ。僕に聞かれたくないのなら、寂しいけど、席を外すよ」
「・・・そうだな。会いに行くか?マヤと二人なら、”いざ”となったら、逃げられるだろうし、二人なら怖くないよな?」
「うん。そうだよ!あっでも、そうだ!リン。さっきの手紙に、リンの”ちきゅう”?での名前書いて!」
「え?なんで?」
「いいから!」
マヤに言われるままに、”神崎凛”と書いた。
「へぇこれが、リンの真命なんだね?」
「そうだ!マヤ。真命で思い出した。ちょっと、僕を鑑定して、真命を見てみて」
「え?うん。いいよ」
戻さない状態で、真命を鑑定してもらった。
「リン=フリークス・マノーラって出ているよ」
「そうか、それじゃ、真命を元に戻すな。これで、鑑定してみて」
「うん!」
さて、どうなる?読めるのか?
「リン。これを読めばいいの?」
「あぁ僕の真命はどうなっている?」
「”リン=フリークス・テルメン”になっているよ。名前と一緒だよ」
そうか、うまくできているな。
”転生者”が見た時には、日本語で見えるけど、日本語が読めない人が見た時には、名前がそのままコピーされるのだな。
もう一つ実験をする。これが成功したら、和葉たちがなにかをやろうとしているのか、わからないけど助けになるだろう。
「マヤ。もう少しやってみたい事有るけどいい?」
「うん。今度はどうするの?」
「できるかわからないけど、マヤの真命を変えられるか試していい?」
「いいよ。変えられたら、僕の真命も、リンと同じにして欲しいな!」
「わかった。やってみるね」
まずは、マヤを鑑定して、出てきた真命を隠蔽できるかやってみるがダメだ。
今度は、マヤに触れながら、ステータスを表示させた状態で、真命を隠蔽してみる。できそうにない。
「マヤ。僕が、隠蔽を作動させるから、真命の変更を自分でやってみて」
「どうやるの?」
「僕がやっているのは、真命を変えると、念じてから、変えたい真命を考えればできると思うよ」
「わかった!」
「いい。”隠蔽”」
”マヤ=フリークス・マノーラ”に変更できている。このやり方でいいようだ。
「できたみたいだね」
「うん!これで、リンと同じだね!」
「ついでに、鑑定も隠蔽しておこう。あと、魔法の属性も隠蔽しておいたほうがいいだろうな」
「わかった!」
ついでに鑑定で見るけど、しっかり変更されている。つかれる。
自分のステータスを確認した。
真命:リン=フリークス・マノーラ
ジョブ:動物使い
体力:80
魔力:80
腕力:70
敏捷性:50
魅力:190(+250)
魔法:外(2)
スキル:隠蔽(4)、言語理解、念話(2)
ユニークスキル:動物との会話(1)(隠蔽)
エクストラスキル:万物鑑定(3)(隠蔽)
おっ隠蔽のレベルと、念話と、鑑定のレベルが上がっている。
隠蔽を鑑定してみる
// 隠蔽:ステータス/鑑定時に表示される項目の隠蔽及び変更ができるスキル
// レベル1:ジョブを除く項目の隠蔽/変更が可能
// レベル2:他人のジョブを除く項目の隠蔽/変更が可能
// レベル3:自分のジョブ項目の変更が可能
// レベル4:ステータス値の変更が可能
// レベル5:他人のステータス値の変更が可能
レベル5以上はなさそうだな。
それでも使い勝手がかなりいい。とりあえず、ジョブを変更して、ステータス値も変えておこう。
念話も鑑定しておこう
// 念話:頭の中で会話ができる。発声器官を持たない者との会話も可能
// レベル1:接触状態で会話ができる
// レベル2:非接触状態で会話ができる
// レベル3:念話を持たない者との会話ができる
// レベル4:これ以降は、レベルアップで会話可能距離が伸びる
「ねぇリン!すごい。変わっているね」
「あぁそうだ。マヤ。触って、ステータスを見る時と、鑑定で見る時で違いがないか見てくれないか?」
「うーん。いいけど、キスしながら、ステータス見ていい?」
「マヤ・・・いいよ。おいで!」
マヤを抱きしめた。
軽く触れるようなキスをした。
「リン。あのね」
「なに?」
「なんでもない。もっと、強く抱きしめて!」
「いいよ」
「嬉しい・・・。あっあのね」
マヤは、僕に抱きつきながら、耳元でささやくように話す。
「それでね。”念話”の項目が、鑑定では出るけど、ステータスチェックでは見えなかったよ」
「そう・・ありがと。念話の横の数字は見える?」
「ごめん。覚えてない。もう一度見ていい?」
「いいよ」
マヤは、自分から身体を預けて、長めのキスを求めてきた。
「鑑定では、数字が見えるけど、ステータスチェックでは見えなかったよ」
「マヤ。ありがとう。だいぶわかったよ」
ねぇリン。僕のわがまま聞いてくれる?」