「母さんの命を奪ったのはこの私。私を産もうとなんかしなかったら、母さん、死ななかったかもしれないんだよ。それなのに……そんな私なのに、今度は母親の愛した人まで好きになっちゃってる。母さんが愛した人まで奪おうとしてる。そんなのダメだよ。ありえないって」

　本当に最低だよ。最低最悪。私はそんな最低女なんだよ。

　うん……うん、納得するように、受け入れるように、リコは何度も首を縦に振る。

「そりゃそうだよね。私の父はどこの誰だか知らないけど、犯罪者ってことだけは間違いないんだもん」