それは…とても不思議な話だった。

狐霊には、霊の性質…つまり霊格(レイカク)に依(ヨ)って、七段階の悟りの境界があるという。

七狐(シチコ)の境界(キョウガイ)──。

霊格が低いものから順に、野狐(ヤコ)、管狐(クダギツネ)、稲綱狐(イイヅナギツネ)、白狐(ビャッコ)、銀狐(ギンコ)、金狐(キンコ)、天狐(テンコ)の七段階があり…この内、野狐から稲綱狐までは、人の心の闇に働き掛ける悪霊であると言う。

 ──対して。

白狐から天狐までは、護法の神に遣(ツカ)える眷属(ケンゾク)となれるのだ。

同じ《狐霊》でも、仏に帰依(キエ)し千年も修行したものは、悪霊から『神の遣い』へと昇格する。

 いずれの狐霊も強い神通力(ジンツウリキ)を持つが…霊格の低い狐霊は人心を狂わせ、神霊(シンレイ)となった狐霊は、人を護る為に働くのだ。