思わぬアクシデントの所為(セイ)で、少し遅い朝食になってしまった。
遥とボクが居間に到着すると、室内は既に閑散としている。片隅では、寝起きの苺が食後の緑茶を啜っていた。
祐介と一慶は早々に食事を済ませて、出掛けてしまった様だ。皆各々の予定に従って、動き出している。
「二人とも遅ーい!」
「ゴメン、色々あって。」
剥れる苺に、そう答えると──
「…ふぅん?」
彼女は見透かした様に鼻を鳴らし、ふと傍らの遥を振り仰いだ。
「毎朝大変ね、ハルちゃん。」
「まぁね。」
苦笑する遥に、苺は同情の溜め息を洩らした。
おっちゃんは、この二日ばかり自宅に帰っている。
総本家とは言え、四天や親族が常駐している訳じゃない事を、ボクは氷見から訊いて知っていた。
沙弥さんや、おっちゃん以外の四天と、未だ顔を会わせた事が無いのは、その所為だ。
『仕事』の依頼が入り、当主の召集が掛かるまで、行者は皆、自宅で待機している。アイドルタイムが長いので、その間に副業に精を出す者も多い。
六星行者は、内閣特別捜査官という特殊な任務に就く国家公務員だが…。
監督責任者である内閣総理大臣の特別な許可を得て、副業を持つ事を許されているのだ。
遥とボクが居間に到着すると、室内は既に閑散としている。片隅では、寝起きの苺が食後の緑茶を啜っていた。
祐介と一慶は早々に食事を済ませて、出掛けてしまった様だ。皆各々の予定に従って、動き出している。
「二人とも遅ーい!」
「ゴメン、色々あって。」
剥れる苺に、そう答えると──
「…ふぅん?」
彼女は見透かした様に鼻を鳴らし、ふと傍らの遥を振り仰いだ。
「毎朝大変ね、ハルちゃん。」
「まぁね。」
苦笑する遥に、苺は同情の溜め息を洩らした。
おっちゃんは、この二日ばかり自宅に帰っている。
総本家とは言え、四天や親族が常駐している訳じゃない事を、ボクは氷見から訊いて知っていた。
沙弥さんや、おっちゃん以外の四天と、未だ顔を会わせた事が無いのは、その所為だ。
『仕事』の依頼が入り、当主の召集が掛かるまで、行者は皆、自宅で待機している。アイドルタイムが長いので、その間に副業に精を出す者も多い。
六星行者は、内閣特別捜査官という特殊な任務に就く国家公務員だが…。
監督責任者である内閣総理大臣の特別な許可を得て、副業を持つ事を許されているのだ。