一瞬の出来事に柚月が呆気にとられていると
「なんか、ゆづちゃん、ごめん」
「ううん。すごいハローくんのこと好きなんだね。少ししか話してないけど、伝わってきた」
「別にあいつに好かれても嬉しくないけど」
「そんなこと言ったらショックうけちゃうよ。だってハローくんと付き合いたいって言ってたくらいだよ」
「絶対、嫌だ」

笑いながらも、柚月はミッチーの言葉の意味が気になってならない。
彼女に誤解されるということは、渋谷はどんな話を彼にしていたのだろうか。
湖夏が渋谷と連絡をとっているのは知っていて、二人をくっつけようかという話をしていたのも聞いている。
もしかしたらそこからくる冷やかしなのかもしれない。
それにしてもさっきのハローくんの様子は、彼女と勘違いされてすごく嫌そうだった。

「なんかごめんね。私のせいで誤解招いて」
気まずそうな柚月に気づいたのか
「ゆづちゃんのせいじゃないよ。渋があることないこと言いふらすから、悪い」
「うん。でもどっちにしろ、ごめんね。私みたいなの彼女にされても困るよね」
「え、なんで？」
「だって……怒ってたから」
「それは、ゆづちゃんに迷惑かけてたから止めてただけだよ」
「私は全然迷惑じゃなかったよ。むしろ嬉しいし」

柚月は思い切り気持ちを伝えてしまった気がして顔を赤くすると、
「うん、俺も全然迷惑じゃないよ」
と笑い返した。