柚月は彼女の作業する手を見て
「保奈美さんが触れたお花って、なんかより輝いて見えますよね」
「本当に? ありがとう。そう感じてくれてるのすごく嬉しい。私も柚月ちゃんみたいにね、お花に癒されてきたから。感謝してるからかな」と朗々と答える。
「保奈美さんはこの仕事、長いんですか?」
「全然。今年からなんだよ」
「え、今年から?」
「まあ趣味でアレンジメントとかやってたりはしたんだけどね。その前は全然違う営業職」
「営業? 全然違うんですね。長くやってる人みたい。でも、なんでまた転職したんですか?」
「実は、体調壊しちゃって入院したんだよね。過労というかストレスとかそういうの重なっちゃって。それで前から好きで続けていたこと仕事にしてみようかなと思って始めたの」
「すごい行動的ですね」
「そう? 行動的って自分では思わなかったけどな。なんか自然に動いてたって感じ。それになんだろう……なんでも愛を感じながらやっていればね、自然とうまくいく気がするよ。それは仕事も人も関係ないと思う」